「客観的な記録」が成長を促す

 こういった記録は、自分自身をより深く知り、それを成長のきっかけにするためにも非常に大きな役割を果たします。

 記録と記憶が決定的に異なるのは、記録は変化しないが記憶は変化するものだ、ということです。

 人間の記憶は、好むと好まざるに関わらず時間と共に徐々に変化していきます。

 人生を再体験するという目的では、記憶の「変化」が当時の自分とは異なった視点をもたらしてくれることで、それによって良い効果も出てくるのですが、記録の目的はそれだけではありません。

 記録は、どれだけ時間が経過しようとも変化することはありません。記録を残すことによって、当時の自分を主観的ではなく、「客観的に」振り返ることができるようになるのです。

 成長のためにはまず、「客観的な自分自身」というものをきちんと把握しておかなければなりません。

 そして、客観的な自分自身をきちんと把握した上で「自分なりに」何かを発見したという事実、心が動いたという事実を客観的に積み上げることが成長の原動力になります。

「突然人が変わった」などということは、現実にはまず起こりません。一歩一歩着実に学び、少しずつ少しずつ変化を蓄積していくことが、結局はもっとも手っ取り早い成長のための方法なのです。

 そして、そういった変化をきちんと記録しておくことは、自分の成長を実感するために非常に大きな助けになってくれます。

 過去の記録を見返して、あのころの自分はダメだなぁ、バカだったなぁ、と思えるということは、その当時の自分よりも現在の自分は成長しているということです。

 ライフログとは、成長の元になる事実を積み上げていくことだとも言えるでしょう。
(第2回へ続く)
 

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五藤隆介(ごとう・りゅうすけ)
1980年愛知県生まれ。愛知県在住。ブロガー兼ライター。EvernoteをメインテーマにEvernoteへの記録手段や整理方法、発見、試行錯誤を記載したブログ「goryugo, addicted to Evernote」主宰。Evernoteについて日本一詳しいブログとして多くのファンを集める。Evernoteは「すべてを記憶するツール」という信念の元、あらゆる出来事をライフログとしてEvernoteに記録し続けている。人気ブログ「シゴタノ!」やウェブメディア「マイコミジャーナル」でも連載を持ち、ファンを拡大中。Evernote好きが高じて、米Evernote本社CEOの来阪時に、ユーザーグループiPhoneCUGと共に、Evernoteユーザーミーティングを主催。
goryugo, addicted to Evernote http://goryugo.com/

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