金正恩は「側近による暗殺」を恐れ核ミサイルから手を引けないミサイル発射に成功し喜ぶ金正恩だが、犠牲を強いている国内からの反発を恐れている 写真:「労働新聞」より

核実験や日本上空を通過するミサイルを発射するなど、北朝鮮の挑発行動はエスカレートするばかり。国際社会は制裁を強め、金正恩を対話に引きずり出そうとしているが応じないだろう。なぜなら、側近による暗殺を恐れているからだ。(元在韓国特命全権大使 武藤正敏)

北朝鮮の核ミサイル開発は
いよいよ最終局面

 北朝鮮は9月3日、6回目となる核実験を行った。その規模は、包括的核実験禁止条約機構(CTBTO)が公表する揺れの大きさを基準に計算するとマグニチュード6.1、破壊力は160キロトンで、広島原爆の10倍と推計されている。これを受けて北朝鮮は、「水爆実験が成功した」と発表。2016年に行った5回目の実験は11~12キロトンであったことから、その技術の急速な進歩が伺える。

 さらに、9月15日には、8月29日同様に中距離弾道ミサイル「火星12型」を発射、日本の襟裳岬の上空を飛行し、3700キロメートル飛んで太平洋上に着弾した。これは、グアムまでを十分射程に収める距離だ。それに先立って、7月4日と28日には「火星14型」と言われるICBMを、ロフテッド軌道で発射している。