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こだわり蕎麦屋めぐり
【第6回】 2011年10月7日
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鎌 富志治 [夢ハコンサルティング代表]

西麻布「祈年」――都内で唯一、発芽蕎麦と水こね十割の更科が味わえる店で豊穣な夜を楽しむ

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都内で唯一、発芽蕎麦と水こね十割の更科という難易度の高い蕎麦をメニューに持つ西麻布「祈年・手打茶寮」。手間ヒマをたっぷりかけて誕生する発芽蕎麦、並の職人では打つことさえできないであろう水こね十割の更科。他では味わうことのできない蕎麦と、ひと手間かけた美味い肴で秋の夜長を楽しみたい。

信州上田の名店「おお西」で修行
発芽蕎麦と水こね十割の更科は都内では唯一

 人生に迷い、目的を失った男は四国遍路※1の旅に出た。四国八十八箇所、全長約1400キロを40日で回る計画を立てた。1日の行程距離は約30キロ。ひたすら霊場といわれる寺を目指して歩く。歩き、考えることで、自分の明日が拓けるのではないか、と彼は思った。

発芽した蕎麦の実。2ミリ程の芽が出ている。それを蕎麦にしてしまうという発想がユニーク。香りや味わいに深みが増してくるといわれている。

 「いや、考えるなんて無理でした。休憩や眠るときに過去のことが頭に巡るくらいで」

 西麻布「祈年・手打茶寮」の亭主、鈴木年樹さんが当時を振り返る。38歳で40日間の長期休暇を会社に申請して、お遍路を成就した男が今、蕎麦屋の亭主になっている。

 乃木坂駅から青山公園沿いに7~8分程度歩くと、1軒のそば屋が現れる。店の屋号は、豊穣を意味する「祈年」。自然素材の竹や木材を多用し、鮮やかな茶系色の印象が強い店内。あの信州上田の名店「おお西」で3年の修業をして、2010年3月に開店したばかりだ。

 ここで見逃せないのが発芽蕎麦と水こね十割の更科。この2つで蕎麦好きたちの人気を集めている。

豊穣を象徴する「祈年」の文字が日暮れ時に浮かんでくる。店内は茶系色で統一。カウンターとテーブル席がふたつ、入り口横には接待に使える個室風のテーブル席があり、いずれもゆったりと過ごせるようにスペースに余裕を持たせてある。

※1 四国遍路:古代より、都から離れた四国は辺地(へじ)と呼ばれ、平安時代には修験者が悟りを開く修業の道であった。空海もそこを歩き、それに倣い、修行僧らがその足跡を慕って修験の旅とした。これが四国遍路の原型と言われる。江戸初期には一般庶民に流行し、現代に至ると、いわゆる「自分探しの旅」として観光化された。観光訪問のお遍路は年間約30万人あり、その中で“歩きお遍路”は5000人程度である。

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鎌 富志治 [夢ハコンサルティング代表]

大手広告代理店で営業局長やプロモーション局長を歴任後、東京・神田須田町で手打ち蕎麦屋「夢八」を開店する(現在は閉店)。現在は企業経営コンサルタント、蕎麦コンサルタントとして活躍中。著書に『こだわり蕎麦屋の始め方』(ダイヤモンド社)がある。
◎ブログ:蕎麦の散歩道


こだわり蕎麦屋めぐり

酒と料理と極上の蕎麦。思わず誰かを連れて行きたくなる、五つ星のもてなしが楽しめる手打ち蕎麦屋。蕎麦が美味いのは当たり前、さらにはそこでしか味わえない料理ともてなしがある店ばかりを厳選。付き合いや接待に良し、大事な人と大事な日に行くも良し。店主がこだわり抜いた極上店の魅力とその楽しみ方を紹介する。

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