ハーバード大学で学部生向けに日本史の通史の授業「アジアの中の日本、世界の中の日本」を教えているのが、デビッド・ハウエル教授だ。ハウエル教授が得意としているのが、「教科書には書かれていない日本史」。授業では戦国武将の肖像画や古文書などが次々に登場し、画像を見ているだけでも楽しい。そのハウエル教授がハーバードで教えている武士の一人が「直虎」。大河ドラマで話題の井伊直虎ではないというが果たしてどんな人物なのか?(2017年4月20日、ハーバード大学にてインタビュー)

アジアの中の日本、世界の中の日本

佐藤 なぜハーバードで日本史の通史を教えることが大切だと思いますか。

デビッド・ハウエル教授

ハウエル 「アジアの中の日本、世界の中の日本」では、縄文時代から現代までの通史を教えていますが、日本史を全体像でとらえる授業というのはとても大切だと思います。特にアメリカ人の学生は欧米以外の国について知らないことが多いので、歴史を俯瞰で理解することが重要です。私たち教員にとっても、通史を教えるというのは、自分の研究分野の位置付けを確認するのに良い機会となっています。

佐藤 学生にはこの授業から何を学んでほしいですか。

ハウエル 日本史を、アジアや世界とのつながりの中で理解してほしいと思います。この授業をきっかけに日本や日本史に興味をもってくれて、さらに専門的な分野の授業を履修してくれたらうれしいですね。日本に関する授業を初めて受講するという学生には、世界史の文脈の中で日本史をとらえることを学んでほしいと思います。

佐藤 「世界史の中で日本史をとらえる」とは具体的にはどういうことでしょうか。

ハウエル たとえば江戸時代の日本は前近代的な社会だったといわれていますが、他国と比べてみれば、非常に安定していて、平和で、繁栄した社会でした。日本には豊かな文化があり、国内では多くの書物が出版され、国民の識字率は非常に高かったのです。もちろん貧富の格差はありましたし、現代と比べれば当時の生活水準はかなり低かったですが、日本は同時代のアメリカ、イギリス、フランス、中国といった大国よりも豊かで平和な社会を実現していました。こういった視点で日本史を見ることを学んでほしいのです。