クライマックスシリーズ、セは「高給vs薄給」対決が見もの

 プロ野球パ・リーグは16日に福岡ソフトバンクが、セ・リーグは18日に広島がリーグ優勝を決めたが、その後も各球場で熱戦が続いている。

 ソフトバンクは優勝後、西武、日本ハム、楽天と6試合行い2勝4敗、広島は阪神、巨人、中日と1試合ずつ行い1勝2敗と負け越したが、試合はいずれも僅少差の息詰まる内容。見応えのある戦いを続けている。

 ソフトバンクにとって西武と楽天、広島にとって阪神、そして巨人はDeNAとともにクライマックスシリーズ(CS)で対戦する可能性のある相手だ。それを想定すれば、優勝したからといって決して気は抜けないし、相手も必死。この構図が緊迫感のある試合を生んでいるのだろう。

今年で11年目のCS
シーズン最後まで緊張感持続の効果

 CSが始まったのは2007年からだから、今年で11年目になる。今でもリーグ戦で敗れた2位、3位のチームに日本シリーズ出場の可能性を与えるのは納得がいかない、という声が根強くあるが、レギュラーシーズン終了まで勝敗にこだわる真剣勝負が観られるようになったのはCS導入の効果に違いない。

 それ以前は、こうはいかなかった。リーグ優勝が決まると、来季を見据えて主力を温存し若手主体で試合に臨むチームが少なくなかった。もちろん選手は契約更改が控えているから必死でプレーしていたはずだが、ベストメンバーではないため、どうしても見どころの少ない大味な試合が多くなる。そんな試合ではファンも観に行く気にならないから、観客動員もがた減り。リーグ優勝したチームこそファンの興奮が残っていて観客はよく入ったが、それ以外のカードは1万人に満たないことも珍しくなかった。興奮度も観客も少ない、まさに消化試合だった。

 だが、今は違う。優勝チームはもちろん、CS出場がかかるチームの試合は、まるで優勝争いをしているように球場は人で埋まり、熱い声援が送られる。それどころかCSとは関係ないチームの試合にも大勢の観客が入るのだ。たとえば20日に神宮球場で行われたヤクルト-中日戦。どちらも開幕直後から低迷し、優勝争いから早々に脱落したチーム同士の対戦だったが、それでも1万8000人以上の観客が入った。これはCS制導入の効果というより、球団の営業努力などが大きいが、シーズン終了までファンの気持ちをつなぎとめようとするNPBの姿勢の反映ともいえる。

 ともあれ、この盛り上がりの流れで突入するCSは面白くなりそうだ。とくにセ・リーグは観る者の心をとらえる構図がある。