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どこよりも高く買いどこよりも安く売る
小売り業の常識を打ち破った革命児
アベルネット社長 小山励基

週刊ダイヤモンド編集部
【第162回】 2011年10月13日
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アベルネット社長 小山励基
Photo by Toshiaki Usami

 どこよりも高く仕入れて、どこよりも安く売る──。

 こんな“常識破り”のビジネスモデルで年商250億円を稼ぎ出す会社がある。パソコン、家電などの通販サイト「PCボンバー」を手がけるアベルネットだ。社長の小山励基が創業に至るまでの経歴は、まさに波瀾万丈である。

 高校を卒業後、地元大阪で雑貨卸会社に就職したものの、学生時代のバイト代よりはるかに安い給料に辟易して10ヵ月で退職。上京する友人に刺激され、バイトやパチンコで貯めた金を手に20歳で上京した。

 役者を夢見て劇団に入った。公演の合間に、クイズ番組の再現ドラマ、時代劇や2時間ドラマにも出た。岩井俊二監督の映画「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」に出演したこともある。

 もちろん、当時は役者だけでは生活していけなかった。公演のないときは、大工や運転手など、さまざまなバイトを掛け持ちしてなんとかやっていた。

 そんな小山に転機が訪れる。ある日、大ファンだったダウンタウンの浜田雅功と仕事で同席したのだが、緊張してまったく挨拶することができなかった。芸能人と同じ業界で仕事をする気構えが自分にはない、と思い知らされ、役者の仕事に踏ん切りをつけた。

現金問屋の経験生かし
量販で2割引きのパソコンを3~4割引きで販売

 当時、役者と掛け持ちでやっていたバイトの一つに、現金問屋の仕事があった。現金問屋とは、安くてもいいから売りたい商品を持っている人と、安ければ買うという人のあいだに立って、商品を右から左へ動かして利ザヤを稼ぐ商売である。すべて現金で取引するため、現金問屋と呼ばれる。

 新聞に「なんでも買い取ります」という広告を出して売り込みを募り、一方で、電話帳で買い手に片っ端から電話して営業をかけた。リスクもあるが、才覚次第で若くても商売を広げられる自由さが性に合い、どんどん現金問屋の仕事にのめり込んでいった。

 そんなとき目をつけたのが、急速に普及し始めたパソコンだった。当時、現金問屋では、修理ができないことを理由にパソコンを取り扱わないところが多かった。当時30万円以上したパソコンを安く仕入れて、20万円くらいの価格を付ければ売れないはずがない。そこに着目した当時の同僚の渡邉健次(現アベルネット専務)とともに、パソコンを卸す商売を始めたところ、ぐんぐん取扱高が伸びた。

 「パソコンの最新価格情報をネットに掲載する」という試みもここで生まれた。価格表のファックスを、1ヵ月に1回ネットにそのまま掲載する原始的なものだったが、当時同様のサービスはなく、それがパソコンマニアのあいだで評判になる。

 確固たる実績と信用を築いた小山は、渡邉とともに現金問屋から独立。1998年にパソコンや家電の通販会社アベル(現アベルネット)を設立し創業を果たした。

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