NHK・Eテレが「攻めてる」と言われるようになった理由「Eテレの攻めてる番組」として評判の「ねほりんぱほりん」は好評につき10月4日(水)からseason2が放送開始。第1回の「少年院に入っていた人」に続き、10月11日(水)に放送される第2回のテーマは「元サークルクラッシャー」。サークルや職場の中で複数の相手と恋愛し人間関係を崩壊させる女性「サークルクラッシャー」。かつて大学のサークルで7人の男性と次々関係を持ち、男同士が大げんかするなど騒動を起こした女性がゲスト。たくさんの男性をもてあそんだその先には、離婚や子どもとの別れなど壮絶な人生が待っていた…。男をその気にさせる驚きのテクニックも大公開!自分の存在価値や居場所を恋愛に求め生きてきた女性の人生に迫る。

かつてはお堅いイメージの「教育テレビ」だったNHK・Eテレが、昨年あたりから「攻めている」とメディアで取り上げられるようになった。いったい、Eテレにどんな変化が起きているのか? そこで、“攻めてる番組”の象徴とも言える「ねほりんぱほりん」チーフ・プロデューサー、大古滋久氏に続き(詳しくは『最近攻めてるNHK・Eテレの象徴「ねほりんぱほりん」責任者に聞く舞台裏』参照)、昨年6月からEテレの番組編成責任者を務める、熊埜御堂朋子編集長に話を聞きに行ってきた。

NHKの中で一番“弱小”のEテレをどう編成するか

――最近「Eテレが攻めている」と注目されることが多くなっています。

NHK・Eテレが「攻めてる」と言われるようになった理由熊埜御堂朋子(くまのみどう・ともこ)/NHK Eテレ編成局編成主幹(編集長)。1986年にNHK大阪放送局に入局。東京への異動後は、福祉番組や教養番組などのディレクター、プロデューサーを務める。制作局青少年・教育番組部を経て、2016年6月から現職。これまでに手掛けて印象に残っている番組は、シリーズ療育の記録「姉と兄に見守られて」(第21回日本賞グランプリ受賞)、ETV特集「ビッグインタビュー ヴィクトール・フランクル 夜と霧を越えて②それでも人生にイエスと言おう」、プライム11「ようこそ私の世界へ“自閉症”ドナ・ウィリアムズ」。

熊埜御堂 ええ。それはもちろん嬉しいことです。でも、この1~2年で急に変わったわけではなく、長い時間を掛けて変わってきたんです。たまたま、「ねほりんぱほりん」や「バリバラ」(※)など目立つ番組が出てきたことで、注目度が高まっているんだろうと思っています。

 ただ、この間ちょっとびっくりしたことがあったんです。今年3月に「Eテレのブランディング調査」というのを行なったのですが、そこで出てきた今の「Eテレ」に対するイメージが、人に例えると、「30代の中性的な人物、IT系、デザイナー、クリエイター」、「自由、柔軟、個性的、チャレンジャー、多様な価値観、癒される」。それが15~20年前の「教育テレビ」に対しては「おじさん、演歌歌手、公務員」「地味、保守的、一方通行、近づき難い」だったんです。Eテレに対する視聴者の方のイメージが、これだけ変わっていたことにすごく驚きました。これは現場のアイディアの一つひとつが積み重なってこんなにも転換したんだなあ!とつくづく思って。私たち、Eテレがやろうとしていることは間違ってないと信じていいんです、と現場にも伝えました。

――実際には、編成の責任者である編集長として「Eテレ」をどんなチャンネルにしたい、という方針を持っているのでしょうか。

熊埜御堂 Eテレは、今NHKにある4波(地上2波、BS2波)の中で、予算的にも一番“弱小チャンネル”なんです。でもだからこそ、個性際立つ番組やコンテンツを並べたい、そこでは負けないぞ!と思ってやっています。

(※)2012年にスタートした障害者のための情報バラエティー番組。笑いの要素を織り交ぜタブー視されてきたテーマにも挑んできたが、2016年4月から、障害のある人に限らず「生きづらさを抱えるすべてのマイノリティー」の人たちにとっての“バリア“をなくすための番組に進化。