たとえば、2枚目のアルバム「METAL RESISTANCE」(2016年)を聴くと、大半の曲の最高音はhiC♯、hiDで、例外なく地声のフォルテである。「KARATE」と「From Dusk Till Dawn」という曲では、hiE(ミ)まで地声で出している。しかもノン・ビブラート、フォルテ一発で音程を当ててくるので、聴き手は瞬間的に彼女の術中にはまる。この手法を中学生のころから使っているのだ。彼女の歌唱法はロックやポップスやクラシックではありえない。つまりオンリーワンだ。

 地声のハイノートを要求されるのはミュージカルである。ミュージカルでは地声でhiEくらいは普通に使う。地声のメリットは、歌詞がよく聞き取れることだ。ミュージカルは演劇なので、歌詞はセリフでもあるから、聞き取れないとまずいのである。

 SU-METALはミュージカル女優と同じ手法で、地声のフォルテでハイノートを当てているわけである。しかも、ノン・ビブラート唱法はミュージカルでも聴いたことはないから、やはりオンリーワンだ。青少年の合唱団の歌い方に聴こえるというが、合唱団はクラシックが基本なので裏声を使う。やはり、SU-METALの地声はオンリーワンである。

 あの強烈で美しい地声のハイノートは実に魅力的だ。下から上の音域まで地声で通し、フェスで数万人の聴衆を前にしても一発で音程を当てる度胸はすごい。欧米の聴衆を前に、日本語の歌で感動させてしまうのは、SU-METALのこの歌唱法と、ヘビーメタルの舞台世界を3人で創造していく完璧な舞踏の演技力のためだろう。このようなバンドは世界のどこにもないと思われる。

グローバルな音楽市場で活躍する
唯一の日本人ポップス・グループ

 3人の舞台上の歌唱、ダンス、表情をつくる演技力は国内外の舞台の数、つまり場数を踏んだことによってどんどん向上している。9月26日にSSAで2年半ぶりの舞台を見たが、2年で数倍は上手くなっていて驚いた。ハイノートには余裕が生まれて、聴衆の様子を見ながら声量をコントロールしていた。

 ダンスにも磨きがかかり、大人に成長して3人の背格好も同じくらいになってきたので、圧倒的な迫力がある。SSAは巨大なアリーナだが、ステージの背後に大きなパネル5枚のディスプレーが設置され、細部まで見ることができた。

 今年はテレビにほとんど出ていないので、全国的な知名度はAKBグループのように高くはないが、グローバルな音楽市場で活躍している唯一の日本人ポップス・グループだと言えよう。