日本でのウケはもう一つでも、海外市場で大勢のファンが付くアーティストやコンテンツが増えている。この「ズレ」は一体、何が原因なのだろうか?(モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授 渡部 幹)
欧米、アジアで大人気!
日本人の異色アーティストたち
2ヵ月ほど前、音楽配信アプリ「スポティファイ」のアジア地区マーケティングディレクターの講演を聞いた。スポティファイは日本ではまだ知名度は低いが、ヨーロッパではすでにナンバーワン音楽配信アプリとして認知されているし、米国、南米でも人気だ。
アジアマーケットには、まだ進出したばかりで、これから本格的な活動を行う。
Q&Aセッションの中で、「世界の音楽マーケットにおいて、アジアはどれくらいの存在感を示せるでしょうか」という質問に、この女性ディレクターは、こう答えた。
「存在感ならもう十分大きいわ。いまスポティファイで最も再生されているアーティストは誰か知ってる?『BABYMETAL』よ。日本人の若いキュートな女の子がダンスしながらデスメタルみたいなハードなロックを歌うのよ!すごいでしょう(笑)」
彼女の答えに、あちこちから驚きの声が上がった。会場のほとんどの人はBABYMETALを知らないようだった。まあインド系東南アジア人のおじさんたちがほとんどの会場なので、不思議ではなかったが。
それから1ヵ月後、クアラルンプールの中心街、ブキッ・ビンタンの高級ショッピングモールで、ジャパンエキスポが行われた。日本のお店や商品がならび、日本を紹介するビデオが流れ、日本からアニソン歌手などのアーティストが来て、パフォーマンスを行っていた。
もともと親日なマレーシアなので、人の集まりは上々だったようだが、そのエキスポの中で、1時間だけ、そんなものとは比較にならないくらい、たくさんの人が集まったイベントがあった。ピコ太郎のパフォーマンスだ。