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2011年10月24日
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中野剛志 [京都大学大学院工学研究科准教授]

米国丸儲けの米韓FTAから
なぜ日本は学ばないのか
「TPP亡国論」著者が最後の警告!

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野田首相は韓国大統領さながらに
米国から歓迎されれば満足なのか

 米韓FTAについて、オバマ大統領は一般教書演説で「米国の雇用は7万人増える」と凱歌をあげた。米国の雇用が7万人増えたということは、要するに、韓国の雇用を7万人奪ったということだ。

 他方、前大統領政策企画秘書官のチョン・テイン氏は「主要な争点において、われわれが得たものは何もない。米国が要求することは、ほとんど一つ残らず全て譲歩してやった」と嘆いている。このように無残に終わった米韓FTAであるが、韓国国民は、殆ど情報を知らされていなかったと言われている。この状況も、現在の日本とそっくりである。

 オバマ大統領は、李明博韓国大統領を国賓として招き、盛大に歓迎してみせた。TPP推進論者はこれを羨ましがり、日本もTPPに参加して日米関係を改善すべきだと煽っている。

 しかし、これだけ自国の国益を米国に差し出したのだから、韓国大統領が米国に歓迎されるのも当然である。日本もTPPに参加したら、野田首相もアメリカから国賓扱いでもてなされることだろう。そして政府やマス・メディアは、「日米関係が改善した」と喜ぶのだ。だが、この度し難い愚かさの代償は、とてつもなく大きい。

 それなのに、現状はどうか。政府も大手マス・メディアも、すでに1年前からTPP交渉参加という結論ありきで進んでいる。11月のAPECを目前に、方針転換するどころか、議論をする気もないし、国民に説明する気すらない。国というものは、こうやって衰退していくのだ。

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中野剛志 [京都大学大学院工学研究科准教授]

1971年神奈川県生まれ。1996年東京大学教養学部教養学科(国際関係論)卒業,通商産業省(現・経済産業省)に入省。2001年英エディンバラ大学大学院(政治思想)に留学し、優等修士号(Msc with distinction)を取得し卒業。2003年論文‘Theorising Economic Nationalism'がイギリス民族学会(ASEN)Nations and Nationalism Prizeを受賞。2000年及び2003年から2008年まで、資源エネルギー庁新エネルギー対策課などに在籍した経験から、エネルギー政策に詳しい。現在、京都大学大学院工学研究科(都市社会工学専攻)准教授として出向中。『国力論』(以文社,2008)、『考えるヒントで考える』(幻戯書房、2010年)、『TPP亡国論』(集英社、2011年)など著書多数


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