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ソブリン危機――歴史的難局の選択肢

“EU離脱なし”のギリシャ救済は本当に可能か
ソブリンリスクを高める「ユーロの構造的欠陥」
――元米大統領経済諮問委員会委員 ジェフリー・フランケル氏に聞く

【第15回】 2011年10月27日
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ギリシャに端を発した欧州債務危機問題がスペインやイタリアなどに飛び火し、欧州全体に危機が波及する懸念が高まっている。混迷を極めるこの問題の背景に横たわるのは、ユーロ体制そのものが抱えた深い構造的欠陥だ。では、危機の解決を困難にしている構造的欠陥とは一体何か。そして、その欠陥を前提とした解決策は未だに残っているのか。クリントン政権下で大統領経済諮問委員会(CEA)委員を務めたジェフリー・フランケル ハーバード大学教授に袋小路に入った欧州債務危機への処方箋を聞いた。(聞き手/ジャーナリスト・瀧口範子)

ギリシャ救済はもはや期待薄に
ユーロ体制が抱える深い構造的欠陥

――ギリシャ債務危機のゆくえをどう見ているか。

ジェフリー・フランケル
(Jeffrey Frankel)
ハーバード大学ケネディー行政大学院教授。MIT(マサチューセッツ工科大学)で経済学の博士号取得。1999年より現職。NBER(全米経済研究所)の国際金融とマクロエコノミックス・プログラムのディレクターを務め、景気後退を公式に宣言する同研究所の景気循環日付委員会メンバーも兼任。カリフォルニア大学バークレー校教授(1987~1999年)、クリントン政権大統領経済諮問委員会委員(1996~1999年)などを務め、現在は、ニューヨーク地区連銀、ボストン地区連銀アドバイザーなどの役職を兼務。

 ギリシャ救済については、現段階となっては期待できないと考える。遅かれ早かれ、債務は償却、あるいは再編が必要で、それをどうやるかのパズルがユーロ圏の課題だ。ギリシャ経済そのものについては、包括財政だけではなく基礎的財政の状態がかなり悪く、また労働者の競争性が低いという深い問題がある。従って、たとえ債務が償却されても事態は向上しないだろう。

 ユーロ圏から追放すべきという議論もあるが、法的に不可能なため、それもない。唯一できることがあるとすれば、構造的な再建を行い、職業の門戸を外国人に広げて少しでも成長を確保することだろう。

――ソブリン危機は、なぜ繰り返し起こっているのか。ユーロ体制にシステム上の欠陥があるのか。

 もちろん、各国における直接的な問題はある。ギリシャはひどい財政赤字だが、アイルランドは銀行システムに問題があった上に、2008~2009年の金融危機の際には、政府が預金者だけでなく投資家の債務まで負っていた。他国にもそれぞれ特有の問題がある。

 しかし、根本的にユーロ体制には深い構造的欠陥がある。そもそも金融危機であれ財政危機であれ、参加国のどこかで問題が起きることなく、ユーロ体制が100年も200年も続くと信じられていたとは考えにくい。だからこそ、ユーロ体制に参加するには財政赤字がGDPの3%以下、政府債務が60%以下でなければならないというマーストリヒト基準(経済収斂基準)を定めたわけだ。この基準の解釈はいろいろあるが、少なくともドイツの納税者たちは、モラルハザードを抱えた国が浪費をし、その挙げ句に他国の政府に救ってもらおうとするのではないかと恐れていた。そして彼らが恐れた通り、マーストリヒト基準も、安定成長協定にある非救済条項も遵守されず、現在の危機が起こっているのだ。

――構造的欠陥を解消するには、どうすればいいのか。

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