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ソブリン危機――歴史的難局の選択肢

【真壁昭夫×浜矩子 特別対談】
ユーロ後の世界経済を読み解く(上)
「ECBの国債買い入れは敗北宣言に等しい。
結局、ユーロ圏はこのまま空中分解する」

【第21回】 2012年10月26日
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出口の見えない欧州債務危機が世界経済に暗い影を落とすなか、ECB(欧州中央銀行)は、無制限の国債買い入れを行なう方針を発表した。金融市場はおおむねこの発表を好感し、危機は一時和らいだかに見えた。しかし、それはあくまで対処療法に過ぎない。経済力も財政状況も違う国々を1つの通貨と金融政策で結び付けて発足したユーロ圏は、すでに制度疲労を起こしている。このような状況では、いつ空中分解を起こし、世界経済に未曾有の打撃を与えるとも限らない。ユーロ圏が立ち直れる可能性はあるのか。もしそれが叶わなかった場合、世界経済にはどんな影響が及ぶのか。国際経済・金融に精通する真壁昭夫・信州大学教授と浜矩子・同志社大学大学院教授が、「ユーロ後の世界経済」について語り合う。(対談コーディネート・記事まとめ/ダイヤモンド・オンライン 編集長・原英次郎、小尾拓也 撮影/宇佐見利明)

ECBの国債買い入れは敗北宣言
市場をぬか喜びさせる最悪の対応

ユーロの行方について議論を交わす真壁昭夫・信州大学教授と、浜矩子・同志社大学大学院教授。対談は9月に都内ホテルにて行なわれた。

真壁 欧州危機が世界経済に深刻な不安を与えています。中長期的なタームで見ると、おそらく危機の震源となっている欧州の統一通貨・ユーロは、今のままの姿ではいられないでしょう。今後、ユーロ圏が立ちゆかなくなった場合、世界経済はどんな影響を被るでしょうか。本日は、「ユーロ後の世界経済をどう見るか」について、意見を交換させてください。

 先般、ドラギECB(欧州中央銀行)総裁が、中央銀行が一定の条件付きで1~3年物国債を無制限に買い入れる方針を発表。これを好感して、欧州株をはじめ、米国株も日本株も一時値を戻しました。この決断は短期的にはインパクトがありましたが、中長期的なタームで見たときに、市場が期待する効果が得られるとは私には思えない。

 理由は、国債買い入れと言っても、1~3年物が対象なので、どちらかと言えばイールドカーブ(縦軸に金利、横軸に期間をとった利回り曲線)のショート・エンドサイドを動かす効果しかなく、長期金利を見据えたイールドカーブ全体を抑えることはできないからです。ぬか喜びだけで根本的な解決にはならないと思いますが、どうですか。

 その通りだと思います。市場は一時この決断を好感しましたが、私に言わせれば最悪の対応です。逆に、辛うじてショートエンドに留めたのがせめてもの救い。これでECBは、国債買い取り機関になり下がってしまいました。

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