Photo:首相官邸HP

アベノミクスを担う日銀の異次元緩和が始まって4年半がたつが、「2%物価目標」は実現しないまま、さまざまな「副作用」が目立ち始めた。日銀が大量の国債などを買い取り、資金をばらまけば「インフレ期待」が生まれ、物価が上がるというシナリオに成算があったわけでもなかった。後戻りできないまま、泥沼に入り込んだのは、太平洋戦争当時の状況と同じだ――。日銀特集「砂上の楼閣」8回目は、熊倉正修・明治学院大学教授が異次元緩和の行く末を論考する。

「アベノミクスと日銀の異次元緩和は、かつての太平洋戦争のようなものだ」

 冒頭から物騒なことを言って恐縮だが、筆者はこのように考えている。アベノミクスと、その中心的な役割を担う日銀の異次元緩和は、もともと勝算も必要性もないのに、いったん始めてしまったために簡単には後戻りできなくなっている。そういう点が太平洋戦争と似ているからだ。

 事態が悪化すると為政者はますます過激な政策にのめりこんでいくが、それを永遠に続けることはできず、最終的には国民に甚大な被害が及ぶことになる。アベノミクスと異次元緩和も、そうなってしまう可能性が否定できないと考えている。その理由を論じていきたい。