ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

日本国債の暴落はあるのか?
悪い金利上昇より良い金利上昇に留意せよ

――高田創・みずほ総研チーフエコノミスト

高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第176回】 2015年7月1日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

落ち着くCDSプレミアム
国債暴落不安の後退

今後の課題は「良い金利上昇」にいかに向き合うか

図表1は日本国債のCDSプレミアムである。その水準は2009年頃までは欧米と同等の水準にあったものの、2011年3月の東日本大震災などの事象も含め、日本には欧米より高めのプレミアムが加わっていた。

 一方、最近、市場での不安意識は随分と鎮静化した。このところCDSプレミアムに若干上昇の気配はあるが、今年は基本的には落ち着いた水準にある。昨年末に、消費税率引き上げが2017年4月まで先送りされた。本来であれば、財政規律への不安からCDSプレミアムが上昇してもおかしくなかったが、現実には財政への不安が市場では話題になりにくい。

 今日、日銀が発行量を超えるほどの国債購入を行うなかで、国債市場は市場機能を半ば喪失し、「麻酔」がかかった「官製相場」にある面が大きいだろう。加えて、重要な転換点は、日本の経常収支のマイナス転落不安が後退したなか、財政規律への不安は残存するものの、日本国債の暴落不安を生じさせる「悪い金利上昇」は生じにくくなったことにある。今後の課題は、むしろ日銀が出口に向かうときに不可避的に生じ得る「良い金利上昇」にいかに向き合うかであろう。 

経常収支の赤字転落
不安後退が大きな転換に

 日本はGDP債務比率で見た財政赤字水準が世界最悪にもかかわらず、経常黒字国として国内での資金調達が完結することが、国債市場の安定を支える大きな要因だ。日本は高水準の外貨準備を抱えるだけに、経常赤字でもその取り崩しで賄うことができるが、国債市場の安定は持続的な調達力への信認にある。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

⇒バックナンバー一覧