生活保護シングルマザーと娘たち。現在も非常に苦しい環境で暮らす彼女たちが命綱としている「母子加算」までもが、廃止されようとしている(写真はイメージです)

生活保護「母子加算」は風前の灯火
一度復活するもまた危機に直面

 この記事は、衆議院総選挙(2017年10月22日)の前々日に公開される。今回は、私が個人的に現在の最重点ポイントと考えている生活保護の母子加算について、当事者お2人の声を中心に紹介する。というのは、母子加算はもしかすると2018年度から削減されてしまうかもしれないからだ。その決定は、12月下旬、次年度予算案で行われる。

 やや長くなるが、最初に、母子加算の趣旨と歴史を振り返りたい。

 母子加算は、母子世帯特有の生活や出費を考慮し、1949年に創設された。現在の生活保護法(1950年新法、2013年改正)以前、生活保護法旧法(1946年)下でのことである。

 戦前から戦後にかけて厚生省(当時)内で行われていた貧困研究に対しては、「世界トップレベルだった」という評価もある。貧困をレベル分けし、それぞれの貧困レベルで生活実態がどのように異なるかを評価する研究も行われていた。現在で言う「絶対的貧困」レベルに近づくほど、その世帯の子どもの成長や発達に悪影響が及ぶことは、1944年(昭和19年)にはすでに明らかにされていた。

 戦争で親の片方を失った世帯、特に主要な稼ぎ手であった男親を失った母子世帯にとって、「女手ひとつ」で夫同様の収入を得て子どもを養育することは、どう考えても不可能である。しかも、現在より女性の就労の可能性は少なく、労働条件も劣悪だった。当時の厚生官僚にとって、生活保護の母子世帯に対して何らかの経済支援が必要なことは、疑いを差し挟む余地すらない明白な事実だったのだろう。

 終戦から時間が経過するうち、母子世帯となる背景は変化していった。死別による母子世帯は減少し、離別による母子世帯が増加した。このため1970年前後から、「離婚して自己責任で母子世帯になった人たちを生活保護で救済する必要があるのか?」という見方が増加したようである。

 しかし1980年、厚生省の委員会は、「両親世帯に比べて、ひとり親世帯であるために親にとってケアの負担が大きいことに注目。親のケア負担による稼動への影響、親によるケアの代替手段に要する費用など」のため、母子加算を「今後も必要」とした(2011年 社保審・生活保護基準部会 庄司洋子氏資料より)。