改正貸金業法が昨年6月に完全施行されたのを境に、ヤミ金被害者が増えているという調査結果が公表された。一方、監督官庁の金融庁の調査ではヤミ金被害者は減っており、法改正の有効性を主張している。まったく正反対の結果が出てくるのはなぜか。消費者金融業界や規制当局、政界も注目するヤミ金の実態を探った。

最新データが示す金融庁の失政<br />法改正でヤミ金“再横行”の実態ヤミ金被害は減ったといわれているが、かつてヤミ金の被害に遭った人の自宅には、今も連日、貸金業者からファックスが送られてくるという。そのほとんどが登録のないヤミ金業者だ
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「ヤミ金業者? 廃業して振り込め詐欺に流れていた連中がまた戻ってきている。特に去年の秋頃から増えてるよ」

 しゃれた金色の腕時計をした男は言った。彼自身も池袋を拠点にヤミ金業を手がける業者の1人だ。

 彼いわく、昨年6月、上限金利の引き下げ、年収3分の1を超える貸し出し禁止を柱とする改正貸金業法の完全施行を境にして、ヤミ金業者の動きが再び活発化しているというのだ。

「そりゃそうだよね。法律で正規の消費者金融業者から借りられなくなったやつらがヤミ金に流れるのは間違いない。だから、カネ貸しはチャンスだと思う。ヤミ金が減ってると言うやつがいたら馬鹿だよ、馬鹿」

 ただ、規制当局の金融庁は「ヤミ金被害者は増えてはいない」とあくまで主張する。