育休からの職場復帰後のマタハラ問題。皆さんの職場でも起こっていないか?(写真はイメージです)

妊娠判明後や産休・育休に多いマタニティハラスメント(以下、マタハラ)。特に育休からの職場復帰後のマタハラ問題について見落とされがちなことが少なくない。今回は復帰後のマタハラ事例を紹介したい。(特定社会保険労務士 石川弘子)

 エステティックサロンを経営し、業績が安定しているR社。同社の悩みはノルマが厳しいため離職率が高いことだった。そこで、本社が働きやすい環境を模索している最中に、売り上げNo.1のF店を作り上げた女店長が育休から職場復帰した部下にマタハラ攻撃する。攻撃された部下はその後辞めてしまうのか、それとも反撃に出るのか――?

 本題に入っていく前に、まずはR社の概要と登場人物を簡単にお伝えしよう。

R社 概要
関東地方で10店舗近いエステティックサロンを経営する創業10年の会社。急成長の裏には厳しいノルマがあり、従業員の離職率も高い。しかし、ここ数年は会社の業績も安定し、労働環境の整備に少しずつ取り組んでいこうと、本社が方針転換を図っている最中である。
登場人物
井川店長:F店の30代店長。シングルマザーで2歳の子どもを実母に預け、バリバリ仕事をこなす。上昇志向が強く、負けず嫌い。猪突猛進型のリーダー。
柴田:井川の部下で、入社4年の幹部候補。出産・育休を終えて、2ヵ月前から職場復帰している。仕事と育児の両立に悩むものの、夫と協力し合いながら、何とかこなしている。井川のエステ技術を尊敬し、キャリアアップを目指している。

 R社は、痩身エステに特化し、急成長したエステティックサロン。井川は、スタッフ10名ほどを抱え、売り上げNo1のF店を作り上げたやり手の店長だ。

 井川は、入社5年目の頃に、妊娠が発覚。散々悩んだあげく、未婚の母になる選択をし、子どもを近くに住む実母に預け、バリバリ働いている。仕事に誇りを持っており、同じレベルを部下にも求める。新人スタッフはついていけず、入社1年もたたずに辞めていくため、離職率も高い。しかし、井川は「そんな弱い人間は、この世界では通用しない」と全く気にしていない様子だ。