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ギリシャ破綻回避でも払拭されないユーロリスク
“とばっちり”の円高がまだまだ終わりそうにない背景

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第199回】 2011年11月1日
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世界で最大にして最も厄介なリスク
ユーロ問題の解決にはまだ紆余曲折も

 10月26日のEU会議で、ようやくギリシャ債務の50%のカット率(債務免除割合=ヘアーカット)や、EFSF(欧州金融安定基金)の規模拡大・機能強化に関する合意が成立した。とりあえず、金融市場の参加者はほっと一息ついたところだ。

 しかし、これでユーロ圏の問題が全て解決したわけではない。まず、今後のギリシャ債務免除に関する扱いに関しては、これから検討されるべき問題が多い。

 たとえば今回の合意では、ギリシャ向けの債務免除については、債権保有者が自発的に行なうことを求めている。これがデフォルトに該当するのか、しないのか不透明な部分がある。

 また、50%の債務免除を認めた場合、多額の債権を保有する金融機関がそれに耐えられるかどうか。あるいは、金融機関がその痛手に耐えられない場合、本当に、資本市場から増資資金を調達できるのか。それぞれについて、疑問の余地がある。

 そうしたユーロ圏の不透明要素の副産物として、“とばっちり”と言ってもよいかもしれない現象が起きている。それは、為替レートが史上最高値を更新した「円高」だ。今回の円高傾向は、わが国の経済が好調なため円が買われているわけではない。むしろ消去法的に、円に投資資金が集まっているのである。

 金融市場はユーロ圏問題という、とても大きな不透明要素=“爆弾”を抱えている。そのため、誰もできるだけリスクをとりたくない。そこで投資家が注目したのは、安全通貨である円だ。「とりあえず、円を買っておけば安心」という考え方になるのである。

 しかも、取引自体が少ないため、どうしても値が飛びやすい。日本の政策当局による介入の影響が出にくい欧州や、ニューヨーク市場で仕掛けると、円がするすると上昇する展開となっている。

 今、世界経済が抱えている最も大きく、しかも扱いが厄介な問題は、ユーロ圏のソブリンリスクであることは間違いない。10月26日の会議で、とりあえずの合意は成立したものの、それで問題がすべて解決されたわけではない。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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