ソニー復活で思い起こす、消えた「日本のスティーブ・ジョブズ」ソニー復活を印象付けた史上最高益の見通し。これから同社に必要なものは何だろうか

ソニー復活に圧倒的に貢献
半導体製品の将来性とは?

 日本の経済界全体が待ちに待った瞬間が近づいている。ソニーは10月31日、2018年3月期の連結決算における営業利益の見通しを6300億円へと大幅に上方修正した。これはソニーが過去20年間超えられなかった史上最高益を、ついに達成する日がもうすぐ来ることを意味している。

 その翌日、ソニーは犬型ロボット「AIBO」の後継機の発売を発表した。平井一夫社長が強調した「感動や好奇心を刺激するのがソニーのミッションで、存在意義」という言葉は、ソニーファンが待ち焦がれたものである。

 ソニーが元気でなければ日本経済は元気になれない。私は本気でそう考えている。元気なときのソニー製品は、消費者から見れば「なんでこんなに高いの?」と不満を口にしながらも、それでも欲しいから結局買ってしまうというものだった。そんな魅力のある商品ばかりを打ち出してくるのが、ソニーという企業だった。

 それはちょうど今のアップルと似ており、消費者にとって「切ない魅惑」を醸し出してくれていた。いつも気持ちは一方通行で、決して恋がかなわないのに、ついつい魅了されてしまう――。そんな日本企業は、これまでソニーしか存在しなかった。