株高で年金の運用益が増えており、一般国民も利益を享受しているではないかという声もある。だが、これで本当に老後が安心できるだろうか。否である。

 日銀の株保有はETFを含めて17兆円を超えたが、国債と違って株は償還がないから、日銀が将来、異次元緩和からの「出口戦略」で資産圧縮を始める時は株を売却しなければならない。だが、日銀当局から出口戦略の発言があるだけで株価は急落してしまうので、日銀は株を買い続けなければならない。

 年金基金も年金給付を賄うために株式を売却して利益を出そうとしても、多額の株を一気に売ることはできない。

 むしろ日銀や年金基金は、株価を下げないために株購入を続けなければならない。まるでネズミ講のようだ。

 外国人投資家は、米国FRBが利上げと資産縮小に向かう中で、こうした日銀の異次元緩和が継続されると見込んで、また株価上昇が一段と進んだのだ。

 しかし、無理なバブル相場は脆い。外国人投資家が売買の7割を占める株式市場はショックに弱い。

 外国人投資家はバブルが弾けると見るや、一気に売り抜く。日銀単独で株価下落を食い止めようとすれば、「空売り」を浴びて、余計、食い物にされかねない。

 株価バブルが崩壊しても、すでにジャブジャブの金融緩和を実施しているので、新たな金融緩和策をとっても、麻薬中毒患者に麻薬を打つようなもので効果が薄くなってしまう。

 日本経済は泥沼に沈んでいく危険性が高まっている。

アベノミクスの「成果」とは?
企業の内部留保は増えたが国民には恩恵なし

 株価の上昇は、アベノミクスの「成果」とされている。だが国民には「恩恵」はいきわたっていない。

 2013年4月に、黒田東彦日銀総裁が、2年で2%の消費者物価上昇の目標を掲げて「異次元の金融緩和」を打ち出した。しかし、目標達成時期は6度も延期され、デフレ脱却は明らかに失敗している。実質的に、日銀の金融緩和政策はただの赤字財政のファイナンスになっている。