最先端IT企業でも神棚のあるオフィスが多い理由

日本企業のオフィスに、ある意味で欠かせない存在の「神棚」。それほど信心深いとはいえない経営者でも、オフィスの神棚には毎朝手を合わせている、という人は少なくない。効率が重視されるオフィスという場所で、なぜ、神棚が長く生き残ってきたのか。(サンレー代表取締役社長・全国冠婚葬祭互助会連盟会長・作家 一条真也)。

最先端のIT企業にも
なぜか神棚がある

 オフィスに神棚を設置している企業は数多い。誰もが名前を知る最先端のIT企業にも、神棚が存在するケースを私は知っている。若い人は、不思議に思うことが多いようだ。

 なぜ、多くの企業がオフィスに神棚を設置するのか──。

 もちろん、信教上の理由がある場合もあるが、必ずしもそればかりではない。むしろ、礼儀や集中力、感謝の心などの精神面を重んじる要因が大きいのではないか。つまり、神棚に手を合わせて祈ることには、経営者や社員の人格を高める等の効果があるからだ。

 そもそもITベンチャーなどは創業者による経営が多い。いわゆる、「困った時の神頼み」ではなく、「創業時の心を忘れない」などの精神的な充実を意識しているのではないか。

 実際、経営者である私自身も毎朝、神棚を拝んでいる。そのときに思うことは「神さま、お助けください」ではない。「ご先祖さま、今日も仕事があります。ありがとうございます」である。

 そう、私は「感謝の言葉」を述べているのである。何かを求めるのではなく、「現状」に対し「お礼」を言い続けている自分がいる。