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対人過敏は早く老ける?遺伝子レベルに影響

井手ゆきえ [医学ライター]
【第366回】

 ある転職サイトの調査によると、転職・退職理由の第1位は「人間関係」だそうだ。前職の経験から対人関係を過剰に意識してしまい、転職を繰り返してしまうケースも少なくないとか。

 しかも先日、山形大学の研究グループから、対人関係に過敏な人は細胞レベルで「老けやすい」という研究結果が報告された。

 研究者らは健康な日本人159人(男性83人、女性76人、平均年齢42.3歳)を対象に対人関係感受性調査(IPSM)を実施。さらに染色体の末端にあるテロメアの長さを計測し、IPSMスコアとの関連を調べた。

 テロメアとは、染色体の末端にある染色体の「保護キャップ」構造のこと。細胞分裂のたびに短くなり、ある一定の長さ以下になると、それ以上細胞分裂ができない「細胞老化」の状態に陥る。個人差が大きく、同じ40代でも20代相当に長い人から80代並みに短い、つまり身体の老化が進んでいる人までバラバラだ。

 先行研究ではテロメア長が減る原因として、心理的なストレスや生活習慣の影響が指摘されている。ストレスホルモンが直接、テロメア長の回復を妨げることに加え、過食や喫煙、大量飲酒で慢性的な炎症が生じ、テロメアの短縮ペースが速まるのだ。

 今回の研究では、IPSMスコアが高い「対人過敏」ともいえる人は、有意にテロメア長が短いことが確認されている。特に、「臆病」な気質と強く関連することが判明した。

 IPSMは(1)対人意識/他人の言動や感情に過度に神経質、(2)分離不安/愛着がある人から離れることへの不安、(3)臆病さ/否定されることを恐れ自己主張できない、(4)内的ぜい弱性/自己肯定感が低く本音を出せない、という4つの側面が評価される。誰でも大なり小なり心当たりがあるだろう。

 とはいえ、いきなりずぶとくなれるものではない。まずは、適度な運動と禁煙、野菜や良質のタンパク質を摂るなど健康的な生活を実践すること。そして今ある「人とのつながり」を大切にしよう。小さな愛情体験が対人過敏を和らげ「老化」を抑えてくれる。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)

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井手ゆきえ [医学ライター]

医学ライター。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会正会員。証券、IT関連の業界紙編集記者を経て、なぜか医学、生命科学分野に魅せられ、ここを安住の地と定める。ナラティブ(物語)とサイエンスの融合をこころざし、2006年よりフリーランス。一般向けにネット媒体、週刊/月刊誌、そのほか医療者向け媒体にて執筆中。生命体の秩序だった静謐さにくらべ人間は埒もないと嘆息しつつ、ひまさえあれば、医学雑誌と時代小説に読み耽っている。

 


カラダご医見番

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