豊洲市場の5街区(青果棟)、6街区(水産仲卸売場棟)、7街区(水産卸売場棟)の計3街区でそれぞれ、地下水が溜まっている地下ピットにコンクリートを打設する工事、地下ピットの喚気を強化する工事、そして地下水の管理システムの機能を強化する工事の3種、計9件の工事を都が発注した。

 このうち落札されたのは11月16日現在、7街区の地下ピット換気強化工事と、5街区のコンクリート打設工事の2件だけ。残りの7工事については、いまだに落札されていない。

政治的にも技術的にもリスク大で
最後まで逃げ回りたいゼネコン

 豊洲市場の建設前の土壌汚染対策工事と、建物自体の建築工事は、5街区は鹿島、6街区は清水建設、7街区は大成建設を筆頭とした共同企業体(JV)が施工した。

入札が滞っている豊洲市場   Photo by Satoru Okada

 ただ、昨年夏に就任した小池知事の方針で、豊洲市場地下の地下水や、空気中の汚染物質を減少させるために、追加工事をすることが決定した。

 通常、スーパーゼネコンが大型工事を受注、施工すれば、付随する小規模な工事やメンテナンス業務まで含めて請け負うのが慣例だ。前述の追加工事も、わずか数億円程度の規模であり、本体工事を請け負ったゼネコンがそれぞれ“あうんの呼吸”で受注しても何らおかしくはない。

 にもかかわらず今回、鹿島が5街区のコンクリート打設工事を受注したのを除けば、清水や大成、そして鹿島は他の工事で、そもそも入札に参加しなかったり、入札途中に辞退したり、予定価格より大幅に低い価格で札を入れるなどしている。

 なぜか。「単に予定価格が安すぎるだけ」(ゼネコン業界関係)との声もあるが、ある都OBはゼネコン側の意向をこう“忖度”する。「政治的にも、技術的にもリスクが大きすぎる。ゼネコン側からすれば、とにかく最後まで逃げ回りたいということだろう」。

 というのも、もし追加工事をやり遂げても、再び地下水が出てきたり、地下水や空気中から多量の汚染物質が検出されたりする可能性は高い。ゼネコン業界では、豊洲市場の地下構造上、たとえ追加工事をしても、地下水や汚染物質の発生は防ぎきれないという声が、従来からある。