いま、面白い時計製作をおこなっている時計ブランドのひとつにティファニーが挙げられる。そのレベルは世間でイメージされるジュエラーのそれを凌駕するものだ。その理由は、歴史を紐解くと明確になる。

写真=奥山栄一 文=福留亮司
ティファニー イースト ウエスト 3-ハンド
自動巻き、18KRGケース、27.5×46.5㎜アリゲーターストラップ 151万円

世界的ジュエラーの時計との関わり

 世界20カ国以上でブランドショップを展開する世界的ブランド、ティファニーは1837年にニューヨークで創業した。現在、間違いなく日本でもっとも知られたジュエラーだろう。

 オードリー・ヘップバーン主演の映画『ティファニーで朝食を』以降、多くの日本人にとって、ジュエリーといえば、なにをおいてもまずティファニーなのである。

 そんなティファニーも歴史を紐解けば、時計と深い関わりがあることがわかる。まず、ティファニーがはじめて時計に関わったのが1847年。その4年後にはアメリカではじめてパテック フィリップ製の時計を販売している。いまから170年前のことだ。

 つまり、時計においても現存する老舗スイスブランドと比べて、まったく遜色のない歴史を持っているということである。

 そして、ティファニーウォッチが大きな注目を集めたのが1853年に創業者チャールズ・ルイス・ティファニーが、高さ約2.7mの“アトラスクロック”をティファニー社のシンボルとしてブティックのファサードに設置したことである。

 それは『New York Minute』※1という言葉を生み出し、現在もニューヨークで時を刻んできた歴史の象徴として、ニューヨーカーに親しまれている。

New York Minute※1チャールズ・ルイス・ティファニーが本店正面に設置したアトラスが時計を背負う像。ニューヨークの公共時計のひとつとなる(photo @ Andrew Bordwin)