日本経済は好調で、景気の拡大が続いています。2012年12月から始まった景気拡大局面は戦後2番目の長さとなりました。今月15日発表の7~9月期GDPも前期比年率で+1.4%と順調です。さて、この好調な景気をけん引しているのが、「輸出」です。今回は、11月20日に発表される「貿易統計」に焦点を当て、輸出について考察します。(三井住友アセットマネジメント 調査部長 渡辺英茂)
日本経済は「輸出」に依存
昨秋から続く世界経済の回復に同調
日本経済は好調が続いていますが、それをけん引しているのが輸出です。11月15日発表の7~9月期GDPは前期比年率で+1.4%と順調でしたが、成長への寄与度を「内需」と「外需」に分けると「内需」が若干のマイナスで、「外需」に依存した成長だったことが示されています。
「外需」のうち「輸出」は、昨年の7~9月期以降、特に伸びが強まっています。その7~9月期に前期比で+2.1%の成長を記録した後、今年の4~6月期(同-0.2%)以外は全てプラス成長となっています。これは、世界経済が昨年の秋以降に回復してきたことと符合します。
さて、将来について考察するのは先にして、まず、「貿易統計」で輸出の現状を確認します。
2016年度の日本の輸出額は、約71兆5000億円で前年から3.5%減少しました。もっとも、減少は主に為替変動によるもので、円高により外貨から円貨への換算時に目減りしたためです。三井住友アセットマネジメント調査部で為替と物価変動の影響を除いた「実質輸出」を計算すると、2016年度は前年に比べて約4%増加していました。
主な輸出先は米国(輸出額14兆1000億円)、中国(同12兆8000億円)などです。地域にまとめるとアジアが38兆4000億円で全体の54%を占めます。欧州向けは10兆7000億円です。米欧アジアで、輸出全体の85%となります。
これを財別で見てみると、自動車が最大で11兆3000億円。自動車部品などを合わせた輸送用機器とすると17兆4000億円になります。次に大きいのが半導体等電子部品で3兆7000億円です。これはより大きい分類では電気機器(輸出額12兆6000億円)に含まれますが、電気機器よりも一般機械(同14兆円)の方が金額が大きくなっています。