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経営における「目的」と「目標」の違いとは

 前回は、日産自動車やスバルの完成検査不備、神戸製鋼所の品質偽装問題を取り上げ、経営者が正しい経営哲学を持ち、それを全社に浸透させることが何よりも大切であり、正しい考え方の1つとして、経営においても人生においても「目的」と「目標」の違いを理解することがとても大切という話をしました。

 繰り返しになりますが、「目的」とは、最終的に行きつくところであったり、「存在意義」のことです。「目標」は目的に至る通過点や、目的の達成度合いを表す評価です。

経営者は「株主」や「自分の都合」を優先するな小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 どの企業にも共通する「目的(=存在意義)」には2つあり、「良い商品やサービスをお客さまに提供し、お客さまに喜んでいただき、それを通じて社会に貢献すること」と「働く人を活かし、幸せにする」ことです。売上げや利益は目的ではなく目標でしかありません。

 多くの社員は、社会に貢献し、働く人が幸せになる会社で働きたいはず。そういう会社は結果として、売上げや利益が伴っています。

「50億円の売上高をあげよう」「2億円の利益を出そう」というのは目標です。50億円分の良い商品やサービスをお客さまに提供して、お客さまに喜んでいただくということであれば、目的と何1つ矛盾しません。

 だからこそ私は、売上げが増えず、利益が出ていない会社を信じません。目的をまっとうしていないから、売上げや利益が出ないのです。