浦河町企画課長・浅野浩嗣氏
Photo by Yoshiko Miwa

 浦河町企画課長・浅野浩嗣氏は、役所としてすべきこととして

「避難場所を作ること」

 を挙げる。学校・公園などがあれば、それらを利用するが、避難場所として適切な場所がない地域も多い。そのような地域には、民間の空き地などを避難場所として利用できるようにする必要がある。実際に、浦河町職員が所有者と交渉を行ってきた結果、現在はどの地域にも避難場所がある状態になっているそうだ。

 次に必要なのは、その避難場所に実際に避難できることである。そのためには、避難ルートを確保する必要がある。その手すりは、平時にも生活の利便性を高めるであろう。

 浦河町の場合、町の動脈といってよい「浦河街道」が海のすぐそばを走っており、その道路が被害を受けた場合には交通が利用できない状態になることが問題である。そこで、もっと高い場所に第二の道路を作り、地域と地域を結ぶ役割を担わせる計画があるそうだ。

「利便性が高くなり、安全性も高くなるのが理想です」と浅野氏は語る。

“地震慣れ”した住民の防災意識をどう高めるか

浦河町総務課参事(防災担当)・三澤裕治氏
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 それにしても、インフラに関して可能な取り組みは多くない。より重要なのは、住民の意識を高めることだと思われる。この問題について、浦河町総務課参事(防災担当)・三澤裕治氏は「ふだんの防災意識を高めることは、簡単ではありませんね」と率直に語る。

「浦河町の住民は地震慣れしています。地震に対して、経験値があります。経験値がありすぎて、安心しています。だから問題なんです。そこで、生の情報を提供することにしました」(三澤氏)

 浦河町では、「何メートルの津波が来たら、どこが浸水するか」を予測した浸水予測地図を作成した。今月(2011年11月)中に全世帯に配布する予定である。「だからこうしなさい」と書いてあるわけではなく、ただ、浸水予想が示されているだけである。

「まず、ご自分で考えていただきたいんです。『津波てんでんこ』ではないけれど、個人の意識を高めることが一番大事だと思っています」

 それでは、考えることはできるけれども行動できない弱者はどうすればよいのか。

「町の民生委員さんたちから、『どうやって避難の必要な人たちを守ったらいいんですか』とよく聞かれるんです。そこで『まず、自分が“逃げるぞー!”と大きな声を出して逃げてください』と言っています。誰かが大声を出して逃げていれば、それを聞いて逃げる人が出てくるし、その逃げる人を助ける人も出てきます」(吉野氏)