日産の検査不正に国交省が激怒する本当の理由記者会見する日産の西川社長 Photo:つのだよしお/AFLO

日産自動車は11月17日、国土交通省に無資格者による検査問題について調査報告書を提出した。その日の夕方に記者会見を開いたが、その様子は決してほめられる内容ではなかった。いまだに国土交通省側は怒り心頭の様子だ。なぜ、国交省は日産を許せないのか、どうして日産のシンボルである名経営者のカルロス・ゴーン氏は表に出てこないのか。(ジャーナリスト 井元康一郎)

歯切れの悪さが目立った
西川社長の会見

「あなたたちにとって、ゴーンさんに傷一つつけないのがそんなに大事なことなのか」――。

 思わずそう言いたくなる会見だった。

 工場から出荷される車が国の保安基準に適合しているかどうかをチェックする完成検査で“不正”をしていたことが発覚した日産自動車。生産の停滞により、中間決算で営業利益を当初見通しから400億円減の下方修正を行うなど、ビジネスに少なからず影響が出ている。

 その混乱になるべく早く区切りをつけたい日産は11月17日、国土交通省に調査報告書を提出。同日夕方、西川廣人社長が記者会見を行い、事のあらましと今後の展望について説明した。

 その説明自体は原因究明、再発防止策から人員増強まで網羅された懇切丁寧なものだった。それがしっかり行われれば、少なくとも完成検査について今後、突っ込まれるような事態が起きる可能性は低いであろう。また、完成検査だけでなく、さまざまな分野において法令違反がないかどうか再点検していくと表明。これらの説明は完璧に近いものがあった。

 にもかかわらず、会見は終始、歯切れの悪さのほうが目立った。