紋付き袴姿で積極PRに臨む企業も
Photo by Konatsu Himeda

 前出の繊月酒造は、3年前から海外展開を始めたばかり。目下、その軸足を香港に置く。香港では日系の小売業態が成熟しており、トータルでの見せ方を高く評価しているためだ。「単に陳列棚に商品を置いて売るのではなく、鍋の季節なら、鍋や調味料、関連食材、さらに焼酎も加えて食卓を提案する売り方ができる」と、前出の松田さんは話す。中国でも「売り方の工夫」が期待されるところだ。

 また、懸念していた地元からの「放射能汚染されているのでは」の声もほとんど聞かれなかったと言う。

 他方、奈良県の日本酒メーカー・梅乃宿酒造株式会社は、海外事業に力を入れるメーカーのひとつ。海外売上げの7割がアメリカ、台湾、香港で、香港はすでに10年のキャリア、その他イギリスやフランスなど12ヵ国に輸出をしている。「グローバル化が進む中、国内だけでなく、世界の市場で生き残っていける企業を目指さなければならない」と、営業担当の神保哲馬さんはコメントする。

 さて、鹿児島からは天星酒造株式会社が海外初出展に臨んだ。「海外で売ろうという試みはこれが初めて」と、営業部長の池亀貞光さんは語る。

 同社は社員15人の“小粒”企業だが、この日に向けて周到な用意を積み上げてきた。まずは商品開発。中国人の飲み方に合うように、ストレートで飲めるようにしたのがポイントだ。中国の飲酒習慣に合わせて、高アルコールでありながら飲みやすさを追求、日本で通常アルコール度数は25度のところを42度に上げた。

 自ら四川省に乗り込んで地元白酒文化の研究を行ってきた、企画開発室長の牧野導万さんは次のように話している。

「生活スタイルや文化が異なる中国に、日本人の味を押しつけてはいないだろうか。現地の中国人の好みを知り、みんながおいしいと感じるものに変えていかなければならないと思う」。

 そして試作品の芋焼酎「天星宝醇」を、まずは鹿児島に住む中国人に飲んでもらった。意見を聞き、何度も改良を加えた。「この見本市は完成品に持ち込むための最終調整として参加した」というコメントからは、相当な意気込みが伝わってくる。