森友問題の「落としどころ」は財務省をスケープゴートにすることだ

 学校法人「森友学園」への国有地売却問題について、国会で審議が続いている。安倍晋三首相など政府から納得できる答弁がないとして、安倍昭恵夫人と佐川宣寿前財務省理財局長の証人喚問を求める野党側と、一連の経緯について「問題なし」として、証人喚問も、財務省の関係者の処分も拒否し、早期に問題の幕引きを図りたい政府与党の攻防は、全くかみ合っていない。

 様々な新たな疑問点を提示し、延々と安倍首相批判を続ける「左派のメディア」と、安倍首相を追及し続けるのは存在しないことを証明させる「悪魔の証明」のようなものだとし、左派が流す情報をデマだとまで言い切る「右派のメディア」の対立もある(例えば、窪田順生『愛国マスコミが反日マスコミを糾弾できない理由』)。「いったいいつまで続けるのか」というウンザリした気分が国民に広がっている。与野党の政治家からも左右のメディアからも、一切この問題の「落としどころ」が出てこない。

 本稿は、全く先行き不透明な「森友学園問題」の「落としどころ」を考えてみたい。それは、「財務省をスケープゴートにすること」だと考える。それが、政府与党と野党の双方が大きなダメージを負わず、それぞれの支持層からも一定の納得を得られる「均衡点」だからだ。

問題点は「財務省理財局の国有地売却の
判断の是非」だけに絞られるべきだ

 この連載では、財務省理財局が籠池泰典・森友学園理事長(当時)の直談判を自らの判断で受け入れてしまったと主張してきた(本連載第152回)。要は、籠池氏が安倍首相と「近い関係にある」と思い、安倍首相の意向を「忖度」して、理財局の判断だけで話を通してしまったのではないかということだ。

 籠池氏が財務省理財局に直接乗り込んできて、「安倍首相がバックにいる」とか、あることないことを言って圧力をかけたことは容易に想像できる。理財局からすれば、本当に首相がバックにいるのかどうかはわからない。しかし、杓子定規に断った後で、本当に首相が出てきたら面倒な話になってしまう。