森友問題の本質は「100万円寄付金」の有無ではない写真:つのだよしお/アフロ

 3月23日、「森友学園」の籠池泰典理事長への証人喚問が行われた。籠池理事長は安倍晋三首相夫人・昭恵氏が森友学園の経営する塚本幼稚園で講演会を行った際、籠池理事長と2人きりの状態で「安倍晋三から」として「寄付金として、封筒に入った100万円をくださいました」と証言した。また、籠池理事長からは、大阪府の小学校設置基準緩和について、政治家に協力を求めたとして、以前から名前が出ていた鴻池祥肇氏に加えて、東徹氏(維新の会)、柳本卓治氏(自民党)らを挙げた。

 これに対して、昭恵夫人はフェイスブック上で「私は、籠池さんに100万円の寄付金をお渡ししたことも、講演料をいただいたこともありません。私は講演などの際に、秘書に席を外してほしいというようなことは言いませんし、そのようなことは行いません」と完全否定した。名前を挙げられた政治家も、国有地売却や大阪府の小学校設置認可基準の緩和をめぐり不当な働き掛けを否定した。ただし、籠池理事長の依頼に対して、役所へ照会したことは認めている。

政治家の「実名」以外
何も明らかにならなかった証人喚問

 基本的に、筆者はジャーナリストではなく学者だ。森友学園の件に関して、何か裏情報などを持っているわけではない。この連載の紹介文の通り、「さまざまな出来事を、通説に捉われず批判的思考を持ち、人間の合理的行動や、その背景の歴史、文化、構造、慣習などさまざまな枠組を使い分析する」のである。従って、この問題についても、あくまで日本政治・社会の特徴を一般的に論じることに徹している。