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冨山和彦 特別講演録

「捨てる」意思決定のできない経営者は失格

冨山和彦 特別講演録「経営者の条件」(前編)

冨山和彦 [経営共創基盤(IGPI)代表取締役CEO]
【前編】 2008年10月15日
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 私は昨年3月まで産業再生機構で仕事をしていました。リーマン・ブラザーズも倒産してしまいましたが、つい6、7年前、日本の金融や経済も似たような状況にあったわけです。当時、日本でも公的資金を投入して対応しようとし、その中で産業再生機構というものがつくられました。

 経営が厳しくなったが、少なくとも立ち直る見込みのある企業を、産業再生機構が買収し、何とか再生して、民間にできるだけ早く売却する、という仕事をやっていたわけです。

 ところで、私が大学を卒業して最初に就職したのは、当時まだ極めてちっぽけな東京支社だったボストン・コンサルティング・グループです。今でこそ大変有名なコンサルティング会社ですが、今から25年ぐらい前は、本当に冗談ではなく、BCGに就職したというと「薬品会社に就職したんですか」などとまじめに聞かれていた時代です。

 その後1年もしないうちに、コーポレイトディレクションという会社をBCGの先輩たちとつくりました。80年代後半の設立当初は、バブル経済にも乗ってうまくいったんですが、92年にバブル崩壊となりました。

バブル崩壊、経営悪化で
半数を退職させるはめに

 10人で始めた会社が、その頃には80人ぐらいの大所帯で、本当にあと数ヵ月で資金ショートするところまで追い込まれました。仕事が半分ぐらいに減ってしまったんです。半数くらいのスタッフに仕事がない状態です。貯金、蓄積もないのに、給料は毎月払っていますから、お金が無くなってくるわけです。

 リーマンなどの金融機関も信用商売なので、法的整理に入ると非常に後のビジネスが難しくなりますが、コンサルティング会社も同様です。他人様の会社に行って、資金繰り、キャッシュフローマネジメントがなってないなどと言っているコンサルタント本人の会社が倒産してしまうのでは、そんな会社にコンサルティングを頼みたいとは思いません。

 人数を減らさないと給料が払えない。しかし退社してもらうには、退職金を払わないといけない。会社側都合ですから、額も割り増しとなります。しかし、肝心のお金がないわけです。

 普通、退職金というのは現金一括払いです。例えば80人の社員を半分に減らさないといけないときに、仮に1人あたり500万円払うだけでも2億円要るわけです。手元に2億円のキャッシュがあるわけがなく、銀行に金を貸りにいきました。

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冨山和彦 [経営共創基盤(IGPI)代表取締役CEO]

ボストンコンサルティンググループ、コーポレイトディレクション代表取締役社長を経て、2003年に産業再生機構設立時に参画しCOOに就任。解散後、IGPIを設立、数多くの企業の経営改革や成長支援に携わり、現在に至る。オムロンやぴあの社外取締役、朝日新聞社社外監査役、中日本高速道路社外監査役のほか、多くの政府関連委員を務める。1960年生まれ、東京大学法学部卒、スタンフォード大学経営学修士(MBA)、司法試験合格。


冨山和彦 特別講演録

産業再生機構で41社の企業再生を成し遂げた、経営共創基盤CEOの冨山和彦氏の特別講演録を再構成し、2回にわたり収録。経営者の条件とは? 経営難に陥る企業の共通項は何か――。

「冨山和彦 特別講演録」

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