経営×経理

伝票類やデータから
「人の活動」の成果が分かる

 ここで、具体的な経理の仕事のシーンを思い浮かべてみましょう。

 多くの経理スタッフは毎朝出勤してパソコン画面を開く際に、メールをチェックする感覚で経費精算書や仕訳データの配信メッセージをチェックします。いくら自動仕訳が浸透しても、システム内に取り込まれた仕訳データを確認する仕事は普遍的なようです。

 扱う伝票類やデータは、例えば以下の種類があります。

仕入伝票、経費伝票、売上伝票、領収書、各種精算書類

 これらのデータには、取引先、単価、合計金額などが明記されています。しかし、取引そのものは自動化されていません。請求書や売上伝票には、発注担当者が取引業者と折衝した上で良質な材料を調達したり、営業担当者が見込み客らに商品・サービスをPRしたり、といった「人の活動の成果」が描かれているはずです。

 経理スタッフの中でも少数派かもしれませんが、伝票類やデータから、このような読み解きをしている人もいるのです。彼らは、関連部署に対して今後のヒントになる情報がどのようなものなのかを模索し、実行しています。

 例えば、中堅企業の印刷業者に勤務するBさん(30代女性)は、他の経理スタッフと共に他部署との連携を意識しています。営業担当者に対しては、広報費や接待費に対する収益の伸び率や前年同月比のデータを提示したり、日頃から取引のある業者に発注した材料費等と対応する売上の推移をまとめたり、グラフを添えて説明するなど様々なアイデアを展開しています。

 筆者が接した経理スタッフの中には、Bさんのように上司の目が行き届かない踏み込んだ情報を得ている人が多く存在します。生のデータに触れている立場だからこそ、五感を投じることで経営改善にも通ずる、多種のアイデアが生まれるかもしれないのです。

 しかしながら、ここまで読まれた中で「ウチの経理スタッフは、ここまでできていない」「上司へのアプローチの仕方が分からない」など、課題や悩みを思い出した方もいらっしゃるでしょう。次は上司、現場、経営者の立場での改善策を考えていきます。

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大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道

経理スタッフは「定型的な事務作業をこなす人材」と捉えられがち。彼ら彼女へ向けられる仕事の効率化と言えば、“仕訳の自動化”“仕事を属人化させない”といった、表面上の作業の改善を求めるものばかりだ。しかし、本来は経理=経営管理者なのだ。経理の能力を伸ばし、経営のために力を借りるにはどうしたらよいのか。様々な業種の経理畑を歩み、一担当者から管理職まで様々な立場を経験した著者が、経理環境改善のコンサルタントとして、実務者・管理者への支援活動に当たる中で感じたことをまとめる。

「大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道」

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