新国立競技場の迷走と秩父宮ラグビー場新構想の大きな差「青山ラグビーパーク化」構想のイメージ図 ©JSRA

「ラグビーの“聖地”である秩父宮ラグビー場をより進化させたい」――。そんな思いから、今年4月に日本ラグビーフットボール協会特任理事に就任した池田純氏は、11月22日に「青山ラグビーパーク」化構想を打ち出した。池田氏本人はあくまで「ラグビーチームのサンウルブズとラグビー業界を盛り上げるためのイメージ図だ」と話す。だが、少し視点を変えて新国立競技場建設の経緯と比較してみると、“聖地”を守り進化させる重要な意味を持つ提言ではないかと思えてくる。(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 大根田康介)

築70年の秩父宮ラグビー場を
「青山ラグビーパーク」にする構想

 秩父宮ラグビー場がある神宮外苑地区は、新国立競技場が建設されており、その周辺では「神宮外苑地区まちづくりに係る基本覚書」に基づき再開発が着々と進行している(関連記事「東京五輪でうごめく慶應人脈 神宮外苑開発マップ」)。地権者は東京都及び明治神宮、日本スポーツ振興センター(JSC)、高度技術社会推進協会、伊藤忠商事、日本オラクル、三井不動産の7者だ。すでにJSCが入る高層ビルは完成し、三井不のホテルや日本体育協会や日本オリンピック委員会が入る岸記念体育会館の新会館も建設が進んでいる。

 周辺で建物が新築、高層化する中で、降って湧いたのが、築70年の秩父宮ラグビー場を「青山ラグビーパーク」にする構想だ。敷地内にパブを作るなどラグビーファン以外でも来場しやすくする。「単純にハコモノというハード面に頼ることなく、集客力を上げる方法はいくらでもある。大切なのは、そのスタジアムのコンセプト。試合とは関係なくても、たくさんの人がラグビー場に行くことが楽しいと思える場所に進化させたい」と池田氏は意気込む。