3期連続の減益からようやく回復基調に転じたセレクトショップのユナイテッドアローズ(UA)。今後は中価格帯ブランドの強化で成長を狙うが、熾烈な国内アパレル市場を戦い抜けるだろうか。(「週刊ダイヤモンド」編集部 岡田 悟)

 おしゃれなファッションビルが集まる東京都渋谷区神宮前3丁目。アパレル大手のユナイテッドアローズ(UA)は、この地に1992年にオープンした旗艦店の一つである原宿本店を今年9月にリニューアルした。従来は道路を挟んでメンズ館とウィメンズ館に分かれていたが、旧メンズ館に男女の商品を統合。そしてその向かいには、同社がライセンス契約で商品を販売してきた米高級アクセサリーブランド、クロムハーツの店舗がある。

 UAは89年の設立以来、若者に人気のセレクトショップとして増収増益基調を続けてきた。2007~09年3月期には急激な成長戦略に社内の体制整備が追い付かず減益となったが、その後回復。14年3月期には137億円と過去最高の経常利益を記録した(図(1))。その後、増収傾向は続いたが、経常利益は再びじりじりと下がり続けた。なぜか。

 一つは、12年末以降、急激に進んだ円安だ。海外で商品を買い付けたり製造したりしているため、円安になれば業績が悪化する。

 為替差損に耐えかねたUAは13年秋冬物から一部、翌14年秋冬物からは全商品の値上げに踏み切った。だが「新商品だけでなく、ワイシャツなどの定番商品まで値上げしたことが影響した」(丹智司・UAIR室長)。消費者の間で高値のイメージが強まった。

 その結果、在庫が増加し、売上高を各期中平均の棚卸し資産額で除した棚卸し資産回転率が低下(図(2))。13年3月期には過去最高の6.9回転だったが、16年3月期以降は6回転を下回っている。