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野口悠紀雄 未曾有の大災害 日本はいかに対応すべきか

新しい介護産業の確立に向けて

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第42回・最終回】 2011年12月15日
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 これまで検討してきたことをまとめると、つぎのとおりだ。

 第1に、製造業の雇用は、引き続き減少することが予想される。他方で、介護に対する需要は引き続き拡大する。

 第2に、総労働人口は減少する。女性や高齢者の労働力率が高まればある程度は改善されるが、全体として相当タイトな状態になることは避けられない。

 第3に、介護施設は過剰供給になる可能性さえあるが、介護人材面での不足は続く。したがって、介護分野に人材を確保できるような制度的な仕組みを作ることが必要だ。

介護保険財政は厳しくなる

 ここで、介護に対する負担と給付がどうなっているかを見ておこう。

 介護に要する費用は、公費と保険料で賄われ、その比率は50%ずつである。保険料の全国平均月額は4160円だ。満40歳以上の者が被保険者となる。65歳以上を第1号被保険者、40歳から65歳未満の医療保険加入者を第2号被保険者と呼んでいる。

 税負担も含めれば、介護のために1人当たり月額8320円の負担を負っていることになる。40歳以上人口の総数は約7170万人なので、国全体では、月5700億円程度の負担だ(注1)。

 ところで、要支援者と要介護者の合計は、現在約500万人である(これは、65歳以上人口2900万人の約17%にあたる)。

 したがって、単純に1人当たり平均で言えば、1人当たり月11万円の費用が使えることになる。

 しかし、この状況は、将来悪化する。

 厚生省社会保障人口問題研究所の推計(出生中位、死亡中位)によれば、2025年における65歳以上人口は、3635万人となる。要支援者・要介護者数とこの年齢階層の比率が現在と同じく17%であれば、要支援者・要介護者総数は、618万人に増加する。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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