攻めの投資は
キャッシュがあればこそ

 キャッシュは、会社を守る最後の砦(とりで)です。

 ただし、守りはキャッシュの役割の一面にすぎません。

 私がキャッシュを最も重視しているもうひとつの理由は、未来への投資の原資になるから。守るだけでなく、攻めるためにもキャッシュは必要です。

 いくら利益が上がっていても、未来への投資をやめた会社はそのうち窮地に陥ります。
 イメージしやすいのは装置産業でしょう。

 長崎のハウステンボスはオープン当初人気でしたが、その後アトラクションが古くさくなり、入場者数が激減して2003年に会社更生法の適用を申請した。お客様がきていることにあぐらをかいて、新アトラクションへの投資を控えた報いです。

 ハウステンボスはベンチャーキャピタルの支援を受けたあと、さらにエイチ・アイ・エスが引き継ぎました。

 新社長は積極的に投資をして、新アトラクションを次々につくった。いまは復活して入場者数は絶好調。投資がいかに大切か、じつにわかりやすい例です。

 ぜひキャッシュの大切さを実感してください。

 700社以上を診てくると、残念ながら、100人中99人が陥る「アリ地獄」があります。これは面白いほど共通しています。
 ぜひ、第1回連載にある、ひとつでも当てはまったら危ない!【あなたの「会社の危険度」10のチェックリスト】をチェックしながら、『数字は人格』を体細胞に植えつけていただけたらと思います。

 今年一年、ありがとうございました。よいお年をお迎えください。