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出口治明の提言:日本の優先順位

「65歳雇用義務」より
「定年制の廃止」が日本の労働力を活かす道

出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長兼CEO]
【第32回】 2011年12月20日
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一向に進まない高齢者の雇用促進策

 厚生労働省は2013年度から、定年退職者の中で65歳までの就労を希望する従業員全員の雇用を企業に義務づける方針を明らかにした。年金の支給開始年齢の引き上げに伴い、高齢者の無年金・無収入化を防ぐ狙いがあると見られている。

 厚生労働省の調査(今年6月)によると、過去1年の定年到達者約43.5万人のうち、継続雇用を希望した人は全体の75.4%、継続雇用を希望しない人が24.6%となっており、4人のうち3人が引き続き働きたいという意向を示している。これに対して、現実はどうなっているのか。希望通り65歳まで継続して働ける定年退職者は今年の6月の同じ調査によると、全体で47.9%にとどまり、とりわけ大企業だけでみるとその半分の23.8%の人しか継続雇用されていないという実態が浮かび上がる。

 政府は年金支給開始年齢の引き上げを見越して、すでに2006年に高齢者雇用安定法を改正し、

①定年年齢の引き上げ
②継続雇用制度の導入
③定年制廃止

 の何れかを採用するよう企業に義務づけた。ところが、多くの企業は定年延長や定年制廃止を選択せず、8割強の企業が継続雇用制度を導入した。この制度は、労使の合意があれば再雇用者の選別を行えるところがミソであり、定年で一度退職させ、働く意欲や健康などいくつかの基準を設けて企業側が自由に従業員を選別できる仕組みとなっている。そのため、希望者の半数程度しか現実には働けないのだ。そこで業を煮やした政府が再び乗り出してきたという訳である。

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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長兼CEO]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の社長であり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

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