トランプ新政権に対し「日本ファースト」政策を採るのは誤りだ当選後初の記者会見も開かれ、トランプ新政権の発足が近づいている。日本はどう対処すべきか Photo:REX FEATURES/AFLO

 1月20日、トランプ氏は大統領就任式に臨み、トランプ新政権が本格的に始動する。わが国はアメリカの新政権にどのように対処すべきか、論点を整理してみたい。

まずは経済の足腰を強固に

 わが国はアメリカと同盟を結んでおり、アメリカはわが国にとって最も重要な同盟国である。その同盟国の大統領が何かを言えば、それをスルーすることはできない相談である。トランプ新大統領が何かを言えば、わが国はそれなりの対応を取らなければならない。

 そして、どのような対応を取るにせよ、先立つものはお金である。そのためには、わが国経済の足腰を更に強固にしておかなければ、必要なお金そのものが捻出できない。このように素直に考えれば、最も必要なトランプ対策は、わが国経済の足腰を強くすることにあることが自ずと明らかになろう。

トランプ新政権に対し「日本ファースト」政策を採るのは誤りだ

 翻って、わが国の経済はどのような状況下にあるのか。昨年の10月4日に公表されたIMFの見通し(経済成長率)は表の通りである。

 これによると、わが国の経済成長率は先進国の中では最も低い。経済成長率は「人口×生産性」と因数分解することができるが、わが国は世界で最も少子高齢化が進んだ国であって、人口増加率は-0.175%とG7の中では唯一、マイナスに転じている(世界210ヵ国中194位。2013年、世界銀行)。そして、人口は簡単には回復することができない。