心筋梗塞や脳梗塞になる前に
「血栓症」が決め手になる

「血栓症」とは何か? と尋ねられて即答できる方はそれほど多くはないでしょう。血栓という言葉はよく耳にするものの、それに関わる病気に関しては知っているようで知らないという方が少なくないと思います。

 一方で、加齢と共に発症する血管の病気としての「動脈硬化」は、生活習慣病の一つとしてよく知られています。そして動脈硬化は、高血圧、糖尿病や脂質異常症など他の生活習慣病が絡むとますます悪化して、心筋梗塞や脳梗塞など命にかかわる怖い病気につながることも広く認識されています。

 しかし、心筋梗塞や脳梗塞が発症する際に「血栓症」が実は決め手になるということは聞いたことがなかった、という声をしばしば耳にします。

 そもそも、血栓とは何でしょう。栓という言葉は「何かを塞ぐ蓋(ふた)、ガス栓など配管の途中で止めるもの」など複数の意味を持っていますが、特に「血栓」の「栓」が意味するのは「液体が流れ出るのを止める詰め物」ということです。

 生理的に発生する「血栓」とは、血管に傷がついて血管に穴が開いてしまった際に、そこから血液が流れ出るのを止めるために血液が固まった状態です。血管に空いた穴が血の塊となった血栓によって塞がれて出血が止まります。これについては皆さん比較的イメージしやすいかもしれません。

 このような生理的な血栓ではなく、本来血液が固まらない血管の内側に突然血栓が発生すると、「血栓症」という非常に危険な病態が引き起こされるのです。