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元「広告批評」編集長・河尻亨一の「月刊マーケティング時評」
【第1回】 2011年12月27日
著者・コラム紹介
河尻亨一 [元「広告批評」編集長/銀河ライター主宰/東北芸工大客員教授]

「Google Chrome×初音ミク」で
2012年を予測する

時代を生き抜くための現代マーケティング3原則

一見意外なものの組み合わせが、思わぬヒットを生むことがある。それはマス広告だけでは実現しない「ふたを開けてみると」という効果の産物であることが多い。こんな時代に企業が継続的にマーケットを獲得するにはどうすればよいだろうか。「広告批評」で編集長を務め、商品やサービスの最新トレンドを第一線で追い続けてきた河尻亨一氏が、多様化する消費者マインドを的確につかむための時代の切り口を提言する。

グーグルのキャンペーンで
CGキャラクター動画
100万回超再生の理由

 2011年11月下旬、世界のバージョン別ウェブブラウザ市場において、グーグルの「Chrome(クローム)15」が、マイクロソフトの「Internet Explorer 8(インターネット エクスプローラ、IE8)」の頒布数を抜き去ったそうだ。ウェブのアクセス解析などを調査するアイルランドのStatCounter社が12月15日に発表した情報だが、1年前には考えにくかった事態である。時代はかくもスピーディに動いている。

 時を同じくして12月中旬頃、「Google Chrome」のグローバルキャンペーン「あなたのウェブを、はじめよう」の新シリーズがスタートした。このキャンペーンではこれまで、レディ・ガガ、ジャスティン・ビーバーといった人気アーティストを起用してきた。

 ガガにビーバー。両者ともソーシャルメディアの活用などによって、一躍世界的大スターになった“時代のアイコン”だが、同キャンペーンでは、今回もキャラクター起用でのサプライズがあった。キャンペーンのテレビCMに登場したのが日本発のボーカロイド「初音ミク(はつねみく)」だったのだ。

 「ボーカロイド」とは、そもそもヤマハが開発したパソコンで歌詞とメロディを入力すると楽曲のボーカル部分が作成できるソフト「VOCALOID」を指すが、個人が作成した楽曲をCGで描かれた架空のキャラクターに歌わせて動画サイトに投稿するユーザーが急増、一大ブームとなっていることから、「初音ミク」のようなキャラクターを指して「ボーカロイド」と呼ぶことも多くなっている。

 このCM映像はYouTubeにもアップロードされているが、その再生回数は公開から5日で約95万回に達している(12月22日現在では107万回超・公式動画より)。もちろん、世界には5000万回に及ぶ再生回数に達したCM映像もあるので(※1)、現状では大ヒットとは言えないが、「レディ・ガガバージョン」が公開から3ヵ月を経て再生回数が約50万回であったことを考えるとちょっとすごい(※2)。

 有名タレントが出ているCMでも必ずしも話題になるとは限らないYouTubeで、なぜこの動画は100万回以上も再生されているのだろうか。

 たしかに「Google Chrome×初音ミク」という意外性は大きい。グーグルのプラットフォーム力も絶大だ。しかし、この映像はそもそもCMとしてよくできているのだ。「初音ミク起用した」とはいうものの、実は、主役はキャラクターではなく「あなた」に設定しているところがポイントではないだろうか。

※1 フォルクスワーゲンの「The Force」(2011)。この再生回数はCMでは記録的
※2 レディ・ガガのプロモーションビデオの中には再生回数1億超えの動画も複数ある

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河尻亨一 [元「広告批評」編集長/銀河ライター主宰/東北芸工大客員教授]

1974年、大阪市生まれ。99年、早稲田大学政治経済学部卒業。お茶の水美術学院講師を経て、2000年より雑誌「広告批評」(マドラ出版)に在籍。08年、編集長就任。10年、同社退職後、雑誌・書籍・ウェブサイトの編集、企業の戦略立案およびPRコンテンツやイベントの企画・制作を手掛けるほか、講演活動なども行っている。


元「広告批評」編集長・河尻亨一の「月刊マーケティング時評」

元「広告批評」編集長・河尻亨一氏が、ヒット商品、イケてる人や企業、話題の現象……などなど、「ヒト・モノ・コト」にまつわる旬のテーマをマーケティングの視点から読み解く時代批評です。

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