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吉田恒のデータが語る為替の法則

【2012年相場見通し(2)】米国の利上げは
2012年に始まる可能性あり!と考える理由

吉田 恒
【第177回】 2011年12月26日
著者・コラム紹介バックナンバー

 2012年の米ドル/円予想・後編です。

 2012年の米ドルの行方において最大の鍵を握るのは、2013年まで利上げはしないと宣言しているに等しいFRB(米連邦準備制度理事会)が、その宣言を撤回するかどうかでしょう。

 私はその可能性があると考えています。

米ドル/円 月足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 月足

「裏切りの景気回復」が
ついに変わる可能性

 前回述べたように、バーナンキFRB議長は、早過ぎる引き締め政策への転換ではなく、むしろ緩和し過ぎといった覚悟を決め、確信犯的に金融政策の判断で「間違える」のかもしれません(「【2012年相場見通し(1)】バーナンキのひょう変で2012年は「ドル高元年」となるか」参照)。

 だとしたら、その背景には、「100年に一度の危機」一段落後も、景気回復期待がことごとく裏切られてきたということが当然あるでしょう。

 たとえば、覚えている人は少ないかもしれませんが、FRBは2010年春にかけていったん超低金利政策から「出口政策」、つまり引き締めへの転換を検討したことがありました。

 しかし、そういった中で、欧州債務危機が広がり、2010年夏にかけて米国景気も「二番底」懸念が浮上したわけです。

 また、今年、ECB(欧州中央銀行)は2回も利上げを行いました。それと関係があるかはともかく、その後は欧州債務危機が最近にかけて深刻化するところとなってきたわけです。

 こんなふうに、欧米とも、ここ1~2年の引き締め政策への転換は、「鬼門」のような結果をもたらしてきたわけですから、懲り懲りになっている面はあるでしょう。

 ただ、だからといって、それが2012年も続くかは微妙ではないかと私は考えています。

 そろそろ景気回復期待が裏切られる構図が変わってくる、2012年はそんな年になる可能性があるかもしれないと思っています。

ITバブル後の米国に似ている
インフレ率の動き

 次の「資料1」をご覧ください。

 まず、青色のグラフは、日本でバブルが崩壊した1990年からのインフレ率の推移、そして、赤色のグラフは、米国でITバブルが破裂した2000年からの米国のインフレ率の推移です。

資料1

 「資料1」のように、日米とも、バブル破裂後は同じようにインフレ率の低下が続いたわけですが、日本ではインフレ率低下がさらに続き、ついにはデフレ転落となったのに対し、米国では、バブル破裂から4年過ぎた頃からインフレ率が底を打ち、物価は上昇へ転じていったわけです。

 これに、2007年から最近にかけての米国のインフレ率のグラフ(緑色のグラフ)を重ねてみると、「資料1」のように「バブル後の日本」のそれより、「ITバブル後の米国」のそれによく似ていることがわかるでしょう。

 この似た状況がこの先も続くなら、米国ではこの先インフレ率がさらに上昇し、景気回復が広がっていく見通しとなるわけです。

バブル後の展開が
日米で異なったのは…

 ところで、もう一度話を戻しますが、なぜバブル後の展開が日米でこんなふうに違うところとなったのでしょうか。

 その大きな要因の1つに…

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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