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逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

其の6「木が良ければその実も良い」(新約聖書)
土台の荒らされたポストを、どう引き継ぐか

江上 剛 [作家]
【第6回】 2012年1月10日
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 北朝鮮の独裁者キム・ジョンイルが急死した。あまりに突然のことで韓国、アメリカ、日本の情報機関はその情報を入手していなかったようで右往左往した。日本では、国家公安委員長が安保閣議に遅刻する事態となり、「事務方から情報がこなかった」と部下の責任にし、男を下げた。

売り家と唐様で書く三代目

 さて今度のキム・ジョンナムは北朝鮮の3代目のリーダーだ。創業者がキム・イルソン、続いてキム・ジョンイル、そしてキム・ジョンウンだ。昔から「売り家と唐様で書く三代目」と言われ、初代が苦労して建てた家屋敷も、3代目ともなると売りに出すことになるというからかいの歌だが、確かに3代も続くことは難しいのだろう。

 最近の例でいえば、大王製紙の井川意高前会長は3代目だ。100億円以上もカジノにつぎ込んで、結局、逮捕されてしまった。典型的な馬鹿ぼっちゃん経営者だ。マカオなんかに行かずに新宿のパチンコ屋かゲームセンターで使ってくれていたら、少しは日本の景気浮揚に貢献したかもしれないと思うと、本当に同情の余地がない。

 キム・ジョンウンは、今、盛んに権力の正統な後継者だと北朝鮮は報道しているが、あまりにその報道が多すぎるので、かえって心配になってくる。

 世界史で権力の継承で恐ろしいと思うのは、中国を統一し、漢を作った高祖劉邦が亡くなった時だ。今から2200年ほど前の話だが、劉邦の正妻の呂后は、待ってましたとばかりに劉氏一族を滅ぼし、自分が権力を握ってしまった。その際、劉邦の愛人の両手両足を切り、壺に入れ、人間豚を作ったと言うから恐ろしい。キム・ジョンウンも決して盤石な基盤の上に立っているわけじゃない。ちょっと太めだが、同様の憂き目にあわないように気をつけないといけない。

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江上 剛 [作家]

えがみ ごう/1954年1月7日兵庫県生まれ。本名小畠晴喜(こはた はるき)。77年3月早稲田大学政経学部卒業。同年4月旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。高田馬場、築地などの支店長を歴任後、2003年3月同行退行。1997年に起きた第一勧銀総会屋利益供与事件では、広報部次長として混乱収拾に尽力する。『呪縛 金融腐蝕列島』(高杉良作・角川書店)の小説やそれを原作とする映画のモデルとなる。2002年『非情銀行』(新潮社)で作家デビュー。以後、作家に専念するも10年7月日本振興銀行の社長に就任し、本邦初のペイオフを適用される。


逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

作家・江上剛氏は、その人生で2回も当局による強制捜査を経験した。その逆境にあって、心を支えくれたのが、「聖書」「論語」「孫子」などの古典の言葉である。ビジネス界に身を置けば、さまざまな逆風にされされることも多い。どんな逆境にあっても、明るく前向きに生きる江上剛氏が、柔術ならぬ“剛術”で古典を読み解き、勇気と元気の“素”を贈る。

「逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―」

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