希望と民進の統一会派は「寄り合い所帯」の再生産に過ぎない

 希望の党と民進党が衆参両院で統一会派を結成することで正式な合意文書を交わした。衆参両院で野党第1会派となる。懸案となっていた安全保障法制への対応は、「違憲と指摘される部分を削除することを含め、必要な見直しを行う」との文言で折り合ったが、都合よく解釈できる余地が残った。今後、両党は党内手続きに入るが、両党内にはそれぞれ会派結成への反対意見も根強く、それぞれ「分党論」も浮上し、調整は難航する可能性が高い。

 本稿は、希望の党・民進党の統一会派結成に基本的に反対の立場で論じる。「寄り合い所帯」への国民の不信感は根強く、先の展望がないからだ。野党が政権を奪取したいならば、「単なる数合わせ」を超えた、これまでと全く違う発想を持つべきだ。

希望は乗り、立憲民主は拒否した
民進党「野党再結集」の呼びかけ

 希望の党、立憲民主党、民進党の3つに分裂した野党が再び合流するべきだという意見は、衆院選が終わった直後から出て、次第に広がった。衆院選の圧勝で、与党は特別国会の予算委員会での党の質問時間を削る要求を強め、従来「野党8、与党2」の割合で配分されていた質問時間が、最終的に「野党2、与党1」となった(本連載第171回)。

 その上、分裂した野党がバラバラに質問したため、安倍晋三政権を追い詰めることができなかったと批判された。特別国会閉会後、玉木雄一郎希望の党代表は「野党が分かれてバラバラだというところは、足元を見られて与党に差し込まれた。野党が力を合わせないと与党の思うつぼになる」と指摘した。

 また、衆院でバラバラになりながら、参院ではいまだ第一党の民進党は、大塚耕平氏が新代表に就任した。大塚新代表は「次期総選挙において、立憲民主党、希望の党、そして私たち民進党を中心に政権交代を実現しなければならない」と述べ、野党再結集を目指すことを表明した。そして、民進党は早速、昨年末に希望の党と立憲民主党に3党による国会での統一会派結成を申し入れた。これに対して、希望の党の玉木代表は「できる限り力を合わせたい」と提案に前向きな姿勢を示した。