要介護状態になっても自分らしく生活できる「地域包括ケアシステム」の進化

介護保険法前からあった「地域包括ケア」のモデル

 高齢者介護だけでなく医療や子育てなど生活全般の土台として「地域包括ケアシステム」作りが注目されている。慣れ親しんだ地域の中で暮らし続けることは誰しもが望んでいるのだから当然だろう。海外では「Aging in Place」と呼ばれる。

 だが、「地域包括ケア」とは、どのような歴史を辿って登場して来たのか。どのように定義されてきたのか。その経緯を辿ってみると、意外な「発見」が見出せる。

「地域包括ケア」が初めて国の文書に登場したのは2003年6月だった。介護保険制度が始まって3年後である。厚労省老健局長の私的研究会、「高齢者介護研究会」(座長・堀田力さわやか福祉財団理事長)がまとめた報告書「2015年の高齢者介護」の中で、「地域包括ケアシステムの確立」と記された。

 団塊世代が65歳以上となる2015年には、「高齢者の生活様式や考え方、価値観が多様化するので、新たな高齢者介護を構築していく必要がある」という認識で同研究会が設けられた。

 そこで謳われた「地域包括ケア」とは、「介護保険のサービスを中核としつつ、保健・福祉・医療の専門職相互の連携、さらにはボランティアなどの住民運動を含めた連携によって、地域の様々な資源を統合した包括的なケア」である。

 後に、地域包括ケアは5要素で成り立つ植木鉢モデル(図1)を使って説明されたをが、ここでは、「介護サービスが主役」となっている。本文ではケアマネジャーのケアマネジメントのあり方を縷々述べ、介護保険制度の枠内に止まった議論だ。

 介護保険制度を支える機能として、「かかりつけ医や訪問看護ステーション、ケアマネジャー、ホームヘルパーなど専門職の連携」と「ボランティアなど地域住民の参加」が唱えられた。

 実は、介護保険法ができるずっと前に、地域包括ケアの実践モデルがあった。「みつぎ方式」である。