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山崎元のマネー経済の歩き方

「運用の目的」を聞く相手を疑え

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第209回】 2012年1月16日
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 ロマンチックではない思い出話を一つ。筆者は小学生時代、天体観測が好きだった。あるとき、流星が見えた後に天体観測友だちが「ヤマザキは、流れ星が流れたときに何を願うの?」と質問した。「すぐには思いつかないなあ」と答えたら、彼は「オレはねえ、カネ!カネ!カネ!って願うことにしている。だって、とりあえずおカネがあれば、使い道は後から考えたらいい」と少し得意げに言った。友人は一つ年上で新聞配達をして望遠鏡を買った、苦労を知っている少年だった。

 おカネのいいところは、用途を後から自由に決められることだ。一般個人がおカネの運用を考える場合に「誤り」ないし「損」のきっかけになりやすい考え方の一つは、この長所を忘れて将来の使用目的別に運用対象を考えることだ。

 たとえば、年金の運用だから年金向けと銘打った商品で運用しようとか、あるいは、毎月の生活費を追加したいから毎月分配金が入る商品で運用しようとか、運用の「目的」から物を考えると、運用の判断に歪みが生じやすい。

 現に、確定拠出年金向けに開発され提供されることが多い「ライフサイクル・ファンド」と称する商品の中身は「バランスファンド」(一般に内外の株式と債券両方のアセットクラスを含むファンドを指す)の一種だが、バランスファンドは確定拠出年金の運用益に対する課税繰り延べ効果を最大限には利用できない非効率な商品だ。また、顧客の立場でリスクの大きさと内容を把握することが面倒なケースが多いし、それぞれのアセットクラスについて単品のファンドを購入したほうが、手数料が安くなることが多い。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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