アメリカのプレスからの
想定外の大きな反響
2012年1月9日月曜日、北米国際自動車ショー(通称:デトロイトショー)のプレスデー初日、14時50分。「アキュラ」ブースでどよめきが起こった。
Photo by Kenji Momota
どよめきの輪の中心にいたのは、ベールを脱いだ瞬間のアキュラ「NSXコンセプト」だ。全長×全幅×全高=4330mm×1895mm×1160mm、ホイールベースが2575mm。そのフォルムは、とても美しかった。ホンダらしい躍動感が凝縮された、見事な機能美だった。
同車に寄り添うように立つのは、本田技研工業の伊東孝紳社長。同氏は「してやったり」の表情だ。
「NSX」は、ホンダの最高級スポーツカーだ。初代「NSX」はバブル期真っ只中の1990年に登場。オールアルミボディの軽量さと、レーシングカーのような運動特性を誇った、日本自動車史における名車の一台だ。実は伊東社長、ホンダの若きエンジニアだった頃、NSX開発チームの一員だった。今回の「NSXコンセプト」発表の舞台では、その当時の開発チーム集合写真を披露し、「NSXとはいかなるモノか」を熱く語った。
そして初代「NSX」開発から25年後の2012年、「NSXコンセプト」は四輪駆動ハイブリッド車となった。ミッドシップマウントされたV型6気筒ガソリンエンジンはホンダのハイブリッドシステムIMAを介し、後輪を駆動する。さらに、フロント二輪それぞれを電動モーターで駆動する。
実は、ホンダが次世代「NSX」の方向性を世に問うのは、今回が2度目だ。1度目は、2005年の初代「NSX」生産中止の2年後、2007年のデトロイトショー。そこで、アキュラ「アドバンスド・スポーツカー・コンセプト」を世界初披露した。だが、同車登場の瞬間、詰めかけたメディアの面々は互いに顔を見合わせ、首を傾げた。
そのフォルムは、なんとなく大味。まるでアメ車。GMシボレー「コルベット」のようなロングノーズ。ホンダのDNAが全く伝わってこなかったのだ。その後、リーマンショックを“言い訳”として、次期NSXプロジェクトは凍結された。そうした伏線があるからこそ、今回の「NSXコンセプト」発表が大いに盛り上がったのだ。