「第4次産業革命」に対応できる経営者、できない経営者の違い写真はイメージです

変化にいかに対応するか

 AIやロボットなどによる「第4次産業革命」とも言われる今、事業環境が急速に変化しています。それは、AIなどとの関わり合いの少ない業界でも同じです。もちろんどの業界にもそれ以外の変化も常に起こっています。

「第4次産業革命」に対応できる経営者、できない経営者の違い小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 そんな時代を生きる経営者にとって重要な事は、環境の変化にいち早く気づき対応することです。ただ、これは「言うは易く、行うは難し」です。そんなに簡単なことではないのです。

 多くの経営者は「変化に気づいている」と思っているでしょう。しかし、自社が属する業界や事業に、今まさに起こっている変化が何で、それがどれほどのインパクトを及ぼすのかまでは、なかなか正確には見通すことはできません。ただし、日ごろからの考え方や習慣でその実力を高めることはできます。

 そこで変化にどう対処すべきかという話の前に、まず改めて事業とは何かを定義しておくことが重要になります。

 ピーター・ドラッカーは事業を定義する際には「目的」「強み」「市場」を見極めることが必要としています。事業の目的とはビジョンやミッションのこと。これは、事業の存在意義や、経営者の志です。強みは自社が競合他社に対して相対的に持つ優位な点。そして自社の強みを活かせる市場があるのかという3点です。

 その上で私は経営戦略の3要素として(1)ミッション、ビジョンや理念の確立・徹底、(2)外部環境分析、(3)内部環境分析が必要であることは、この連載でも何度もお話しました。それをどう実践していけるかが大切なのです。

 同じ事象が起こっても、業界によって受ける変化のインパクトには当然違いがあります。