規制緩和によって、銀行に人材紹介業という新たなビジネスの道が開ける。
1月23日、金融庁は銀行向け監督指針の改正案を公表。その中で、銀行が取引先企業に対して人材紹介業を手掛けることが可能であると明文化した。
背景には、銀行の将来性に対する金融庁の問題意識がある。
金融庁の森信親長官は「顧客目線を無視して融資量や金融商品の販売手数料を伸ばすというビジネスモデルは、成り立たなくなってきた」と、繰り返し指摘。取引先企業が抱えるさまざまな課題を解決する顧客本位のビジネスへのシフトを促してきた。
また、政府が掲げる地方創生において貢献が期待される地方銀行に対しては、地元企業の生産性向上や経営再建を支援することで、地域経済の底上げを図るよう求めてきた経緯がある。
これまで、預金者のお金が損なわれないように、預金を取り扱う金融機関には厳しい業務規制があった。しかし、地方創生に資する業務について、金融庁は「金融機関のニーズを把握しながら規制緩和の具体的な検討を進める」(金融庁幹部)方針を固めていた。
今回の業務解禁もその一環。地方に不足している経営を担える人材や専門性の高い人材を、銀行が地元の取引先企業に紹介すれば、本業支援につながるというわけだ。