中小企業に押し付けるな

 しかし、この規制緩和が地方経済の特効薬になるほど現実は甘くない。経営人材や専門性の高い人材を地方へ送り込む取り組みは、すでに人材紹介会社や内閣府の「プロフェッショナル人材事業」が手掛けているが、その成功確率は必ずしも高くないからだ。

 その原因は、人材側と受け入れる企業側の双方にある。

 人材側の理由としては、「そもそも地方の中小企業において再現可能な経営の成功体験やノウハウを持つ人物が少ない」(大手人材紹介会社幹部)ことが挙げられる。

 一方、企業側は「立場が上の取引先から、出世の道を断たれた役員などを押し付けられてきたというのが中小企業の実態」(同)であり、人材紹介に対する拒否反応が強い。「自社で一線を退いた“一丁上がり”の人間の片棒を担ぐのか、大企業の人は役に立たないと、相当な反発を受けた」(同)といった話が聞かれる。

 取引先企業を“天下り先”にしてきたという意味では、銀行こそその代表格。現在はかつてほどではないとはいえ、その銀行が人材を紹介するとなると、企業側の拒否反応は推して知るべしだ。

 また、本業支援が必要な企業となれば、立場は銀行の方が圧倒的に上。そんな企業に対して、本当に銀行の都合を押し付けず、役に立つ人材を紹介できるのか。

 業務解禁後、銀行がどのような運営をしていくのか注視が必要だろう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)